第2話 テレワークが始まった。

2020年4月

僕の勤める役所でもテレワークが始まった。

テレワークといっても、、、

当時の部署には、自宅で仕事ができるようなオンラインシステムはなく、

PCは持ち出し禁止(懲戒規定あり)、貸与携帯電話なしの状況。


どう考えたって仕事をする環境ではない。

物理的にできるわけがない。


在宅勤務?自宅待機?

そう、ただ単に家に居なくてはいけない休日なのだ。


職員の出勤率を8割減らす。

週5日勤務から、週1日の出勤になった。


これって・・

ボーナスタイム・・・!!


部長から伝えられた時に、、、

僕は笑いを堪えることが大変だった。

直属の上司である課長にはバレていたとは思う。


その後、係長である僕はその旨を係員8名に伝えた。

状況を深刻に考える人、喜びを隠せない人、何故か泣きそうな人など、

本当にそれぞれの顔色だった。

自分が伝える側になると分かる。

きっと僕も部長から話を聞いているときに、嬉しさを隠せない顔をしていたのだろう。


そこから、3ヶ月間。

週休6日制という、夢のようなシフトが始まっていった。

唯一の出勤日も、当番で出勤してきた係員と世間話をするだけだった。


マスク不足、人気タレントの感染状況、誰が感染したかという噂話。

そんなこんなで唯一の出勤日が終わる。


僕が就職して15年。

こんなに仕事をしない3ヶ月はなかった。


コロナで苦しんだ人や経済的な打撃を受けた人には本当に申し訳ないが、

個人的には幸せな時間だった。


生後半年の娘とゆっくりした時間を過ごすこともできた。


声を大にして言うことはできないが・・

コロナ禍、結構楽しかった。




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