第5話 ENDLESS LOVE=ENDLESS NIGHTMARE
第5話
歌side
永遠を見た日から、数日が立った。
あの日から、行く先々に死を見た。
例えば………
『許さない!お前だけはぁぁ!!!』
『なっ、お前!?』
ドラマで人が殺されるシーンを見た事がないだろうか?
そういうのに疎くない限り、誰もが見た事がある筈だ。
でも、今の私には………
『愛してるぜ、歌………』
字幕は完全に違う台詞を示しているのに、私の耳にはそう聞こえてくる。
画面の中に、永遠が居て、その言葉を私に告げ続けるのだ。
「大丈夫………私は大丈夫………、こんなの見なければ良いだけ!人が死ぬなんて、そう起こるなんて………」
「「きゃっきゃっ♪きゃっきゃっ♪♪」」
子供達はまた笑っていた。
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「久し振りだなぁ………あの子、元気してるかなぁ………」
子供達を夫に任せ、友達に久し振りに会いに行った。
本当なら車で行くつもりだったのだが、最近車の事故………いや、永久を見たせいで躊躇ってしまった。
だから、電車を選んだ。
それが間違いだった。
「嫌、嫌ぁ………!!!!」
私の目の前で、見知らぬ誰かが飛び降りた。
そして、電車に直撃した。
その瞬間、ソイツが私の方を見たのだ。
『愛してるぜ、歌………』
また、永遠だった。
「………して、もう………許してよ!!!!」
その叫びに、答える者は誰も居なかった。
「「きゃっきゃっ♪きゃっきゃっ♪♪」」
居ない筈の、我が子達の笑い声まで聞こえた気がした。
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「大丈夫、大丈夫、私は大丈夫!何も可笑しくなんてない!少し疲れてるだけ!絶対にそうに決まってる!」
もう、そう思い込むしかなかった。
私の行く先々で、死は現れた。
その度に、永遠は私の前に現れた。
もう、嫌………
許してよ!!!どうして、こんな目に合わなくちゃならないの!!!!
………死にたい。
「………ハッ!?ち、違う、そんな事を考えちゃダメよ私!!!」
私には愛する夫が、子供達が居るんだ!
死ぬ訳には………
「「きゃっきゃっ♪きゃっきゃっ♪♪」」
我が子達の笑い声が響き渡る。
………何が面白いのだろうか?
私はこんなにも苦しんでるのに………
「いや!違う!!そんな事を考えちゃ………考えちゃダメなの!!!」
あっ………
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気が付けば、私は永遠達に囲まれていた。
『愛してるぜ、歌………』
『愛してるぜ、歌………』
『愛してるぜ、歌………』
ひっきりなしに、彼の言葉が聞こえてくる。
でも、何時も様に我が子達の笑い声が聞こえないなぁ………
そろそろ夫も帰ってくる時間だろうに、全く帰ってくる気配がないし………
もう………本当に何が起こってるの?
あっ、そろそろ行かなきゃ………
「行ってきます!」
そう誰も居なくなった部屋にそう告げ………
………私は落ちた。
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『ようこそ!そして、久し振りにやっと君に言えるな!愛してるぜ、歌♪』
終わり
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