第21話
*浮かれて堕ちる初任務*
自分の故郷ではなく、
教会の浮遊石、その上の聖堂の最上階。
——ああ、なんであの時ナーシャの血
効かないのかと思ったら、そうなんだ…回復かあ
ぼくの魔法…いつ教えよっかなぁ
使って教えたいな
と、風の席に座り、足をバタつかせる。
そして頬杖をついて嬉しそうに微笑む。
それだけで緊張が少しほぐれた気がしたイザベラ。
鎧を着込み、
その胸元の飾り。
風の魔石を撫でる。
——使えないってわけじゃないけど、
普段羽衣あるし、練習したことないし…
あんま好きじゃないけど、ナーシャに持たされたし仕方ないや
「うう……、なんでここいるんだろ」
と、つぶやくイザベラ。
一人待たされるこの部屋。
教会では魔法の基礎の四元素にちなんで四天王を置いているが、その控え室の様な場。
ここにイザベラは風の席に座っていた。
もう一人は、療養中。水の席の人。
あと、二席は空席。
——うちのクリスタルより、ちっちゃいんだな…
最初戴冠式の時は、ナーシャがいたけど、不安だなあ
ただ見た目が人で魔法使えてってだけで、よくぼく選抜したよね……
と、思い外を見て、はあとため息。
先ほどの自分の天使族としての魔法を発見した喜びと今度は逆。
四天王の任務というものがあるらしく早速呼び出されて今イザベラはここにいた。
着慣れない白い鎧と、まだ慣れない部屋。
ガチガチで待っていると、
「いやーー、最上階って大変だね」と、式典で見た教皇が入ってきた。
「あ、改めて一応ここの教皇してまーす
アルテア、ローゼンベルグです」
「あっえっと。」
と、慌てて慣れない騎士式の敬礼をする。
「いいよ、いいよ。ゆったりしてくれて。
残念だけど、僕はまた別の庶務で行くからまた話そうね!
で、初任務がこれだよ」
はい、と渡されたファイルに魔石の不正売買や発掘など。幾つかの書類。
魔物狩に付箋がついていた。
獣人関連がなく、内心ほっとしたイザベラ。
「じゃあごめんね。
しばらくは寂しいだろうし、慣れないだろうから付き人ちゃん付けたから安心してね。
水の席の人もいなくて寂しいかもしれないけど、また復帰したらきっと一緒に行動もできると思うから!」
と言って多分と小声で付け加えた。
じゃまたね!とそのまま出て行った。
もう一人の四天王とやらにいつ会えるのかという不安と任務できるの?という不安が押し寄せた。
「はぁ。
とりあえず、ここに向かったらいいのかな?」
と、付箋のついた紙を取り出した。
***
「ここ、かな?」
と、恐る恐る入るそこは、
一階の会議室の一つ。
少数用の部屋に入って行く。
中は資料室も兼ねているのか、詰めに詰まっていた。
そのためここはギリギリ四人入るか。くらいの狭さ。
あとは資料。
資料も『獣人に関して』『魔石の加工』『海中に関して』などなど。内容の気になる件名のファイルたち。
イザベラはそれらすべて気になったが、その真ん中に配置された机。
その机の上に書類やタブレット。
幾つかの魔石も置かれた横。
その椅子に女の子が座っていた。
「初めまして、イザベラ様。フローゼ・ローゼンベルグと申します」
付き人、助手をしてくれるというフローゼという女性。
シスター服で如何にも。と言った人物。
監視みたいなものかなぁ
と思いながらも「よろしくお願いします」と挨拶。
「ふふっ、そう固まらずに。今日は簡単なものなので大丈夫ですよ。あと、私の事はメイドとでも思って貰って、気を遣わなくとも大丈夫ですよ?」
と、ガチガチのイザベラを宥める。
「さて、ここの下の帝国ですが、少し前に魔物牧場から脱走したものの被害がありまして。
脱走した魔物を退治、回収という任務です。
簡単でしょう?
多分、四天王の人は部隊隊長方より名声重視…だからこれからのものも多分貴方様なら可能かと
なので、不安がられなくても大丈夫ですよ?」
「私もいますし」と宥めた。
そして、部屋の窓から指差す。
「あの山の向こう側に牧場があり、その山に霧散しているようです。
ワーム系で、動きは遅いので仕留めるのは容易いかと思います。早速行かれますか?」
と、イザベラに聞く。
「あ、はいっ! 行きます!」と、ガッと窓を開けて羽衣で飛ぶ気のイザベラ。
「え?! イザベラ様!?」
と、驚かれしまったと言う顔でしおらしく座ったイザベラ。
——だ、大丈夫かなぁ
もう先が思いやられるよ、ナーシャ……
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