第46話 魔眼
コンッ──コンッ──────
「失礼します」
そう言って部屋に入ってきたのはトゲトゲした橙髪と赤と緋のオッドアイをした美少年、ジークだった
「ジーク、遅かったね
ほら早く座って」
この部屋には既にシャル、エリック、ルシアがいる
今ジークが来たのは私が親友の3人を呼んだからだ
この部屋には向い合わせのソファーがあり、私の座っている方にはエリックが反対側にはシャルが座っている
シャルの座っているソファーに座るだろうとは思っていたが予想通り私の反対側のソファーに座った
しかし少し予想していなかった部分がある
ジークはシャルの真横、ほとんどゼロ距離の位置に座った
こういう場では控えてほしいものだがジークには悪気はない
親友として注意してやっても良いがこうして第三者目線で見ると微笑ましい光景だ
ジークは天然なのか良く分からないがいつも特に意識していないように見える
というより目を離せばいつもシャルの側にいる
特に悪気は無いようだしジーク自身はなれているようで無反応、シャルは少し顔を赤らめている程度だ
支障がないなら咎める必要もないだろう
「ライン様、遅れてしまい申し訳ありません
何の話なのでしょうか」
「ああ、まだみんなには伝えていなかった龍の討伐計画について概要だけ知らせておこうかと思ってね」
「まぁとりあえずこれを見てくれるかな」
私が机の上に計画書を広げるとみんなが食い入るように覗き込んだ
もともと3人は計画を立てる前から不参加ということになっているため計画については何も知らされていない
今回の龍の討伐計画は私が立てたものだ
そしてこの作戦には本来参加するはずの無い私も参加している
私のポジションは比較的安全な位置になっていて危険な状態に陥ったらすぐに竜車の裏に避難できるようになっている
しかし私の3人の親友であるジーク、シャル、エリックは計画に組み込まれていない
「ライン様
1ついいでしょうか?」
「聞こう」
「……僕も龍の討伐計画に参加したいです」
「エリック……逆になぜ参加できると思ったんだ……ほら前を見ろ
聡明なジークとシャルは理由を理解して黙っているだろう?」
「うう……あっ、ライン様の近くに立ってライン様のことをお守りします」
「うーん、邪魔だね」
「俺もそう思います」
「私もそう思うわ」
「みんなひどいよ」
「あのね、エリック
ライン様がいざという時にすぐに遮蔽物に隠れられるようになっているのに、そこに邪魔なあんたがいたら意味ないでしょ!」
容赦のない辛辣な言葉だが事実だ
「ライン様ぁシャルちゃんがひどい事言うよ~」
ひどいもなにも事実を言っているだけだと思うが…………シャルちゃん?
エリックはシャルをそんな呼び方していたか?
「あんたはいつもライン様に頼りっきりね
そんなんだからいつまでも強くなれないのよ」
「ふふん、もう僕は武法を習得したんだ
悪いけどもうシャルちゃんじゃ僕には勝てないよ」
「ええ!ウソでしょ
何で攻撃が苦手なあんたが武法なんて習得できたのよ」
「すごいでしょ!
ここ1年くらい死ぬ気で修行してたら取得できたんだ」
なんだかエリックが幼児化しているようにも思えるが、良く考えてみれば年齢相応の行動だ
それに頑張ったことを誰かに自慢したかったのだろう
「そっか……エリックも頑張ってるのね
これでエリックも防御だけじゃなくて攻撃もできるようになったんでしょ?
良かったじゃない、遂に努力が報われたのね」
「私もエリックに追い付けるように頑張るわ」
どうやらシャルはエリックが攻撃系統の武法を習得したと勘違いしているようだ
「シャルちゃん………
たしかに武法は習得したけど攻撃系統のものじゃないんだ」
「攻撃系統のものじゃないってどういうことよ?
武法に攻撃系統以外のものがあるなんて聞いたこともないわ」
シャルとエリックは私が思っていたより仲が良いらしい
「ジーク、ちょっと良いかな?」
「はい、計画についてですか?」
「ああ、今回、ジークには策敵を頼もうと思っている」
「なるほど、俺以外は誰を策敵に当てる予定なんでしょうか?」
「セオドアと……あとは魔道具かな」
「分かりました
命を懸けて努めさせていただきます」
「まぁそんなに気張る必要はないよ
魔眼は出来るだけ出力を押さえて使うようにしてくれ
副作用が出る程の出力は求めていない
危機的な状況でもないから安心してくれ」
ジークの片目は魔眼だ
基本的にはオッドアイの者は魔眼と呼べる程の出力はなくても何らかの力が備わっていることが多い
今回はジークには魔眼の力を押さえて策敵をしてもらおうと考えている
魔眼を持つものは五感の内、特に視覚が発達して私たちには見えない微弱な魔素を捉えることができる
今回ジークにはこれを利用して龍の索敵を行ってもらうつもりだ
私とジークが話し合っている間もシャルとエリックはずっと別の話をしていたようだった
そういえばエリックの婚約者はまだいないんだったか
エリックはかなりモテるはずだがいつになったら婚約者を立てるつもりなのだろう?
もしかしてシャルのことが好きだったりするのだろうか…………
こうして4人で集まった時はいつもエリックがシャルに話しかけている気がするし、ジークをライバル視していることも多い
もちろんそんなことは理由にはならないし勘違いの可能性が高い
だが私も比較的長く共に時間を過ごしているエリックについては理解しているつもりだ
正直ありそうというかほぼ確実に……
これについてはまた今度考えることにしよう
今回は3人に情報の共有をしようと思って集まってもらったが元々さほど重要なものでもない
こうやってまったり過ごすのも悪くないと思う
「ライン様、少しよろしいでしょうか?」
「どうした?」
「家紋の刻印が押された手紙を持った者がいらしたようです」
「ふむ?刻印か……それはフール子爵か?」
「いえ、貴族ではないようです
門番が言うには茶髪の女性とのことです」
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魔眼
眼球に宿る
先天的な才能によってしか手に入らない
その能力は千差万別
魔眼を宿すものは必ずオッドアイになる
魔眼専用の能力だけでなく視覚的に魔素の微弱な流れを捉えられる
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