(43)小一時間

 今日は久々に仕事でスーツを着てお出かけする事になった。


 顧客の担当者が人事異動で居なくなるとかで、引継ぎする後継の担当者と初の顔合わせをしたのが今日の主題だった。


 こちらは一人。


 相手は5人。


 で、ちょっと面白い現象が起こった。


 今日の打合せに使用する会議室の予約が90分間だったのだが、僕のプレゼンが約15分くらいかかるので、実質打合せに割ける時間は「小一時間」程度。


 なのだが、この「小一時間」の定義がみんなバラバラだという事が今日分かってしまった。


 これは出身地による地域差なのだろうか。


 Aさん「小一時間って、30分くらいの事でしょ?」

 Bさん「え、いやいや、55分くらいの事でしょう」

 Cさん「え、45分くらいじゃないんですか?」

 Dさん「あれ? 私は70分くらいの事かと思っていました」


 さて、大阪出身の僕の見解では、小一時間といえば「40分~50分」というものだ。


 しかし、広辞苑には「60分に少し満たない時間」みたいな表記がされている。


 つまり、僕の認識は実は間違っていて、正確には「Bさんの認識が正しかった」という事になる。


 ちなみに、Bさんは千葉県出身の方だった。


 なるほど。


 で、「30分」というのは僕は「半時はんとき」という表現が正解だと思っていたので、さすがにこれはないだろうと思ったのだが、どうやら名古屋あたりでは小一時間といえば30分くらいを指すのだと、Aさんは主張しておられた。


 そして、70分くらいだろうと主張するDさんは、沖縄県の出身なんだとか。


 これが地域性の問題なのだとしたら、ちょっと面白い現象だな。


 こんど、「小一時間」の定義を色々な人に聞いて出身地を確認してみるのも面白そうだ。


 まさかこんなに時間をファジーに表現できる言葉があったとは思わなかった。


 年をとっても、新たな発見というのはワクワクするものだ。


 うむ。


 今日は良い日だったな。

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