(25)イントネーション

 物語の登場人物が生きている様に会話を楽しむ姿。


 それが表現できればいいのになぁ、といつも思う訳だが、その表現方法の一つに「セリフ」がある訳で、つまりはそのセリフの表現を工夫しなくちゃと思い至る訳だ。


 セリフの末尾に「?」をつける事で、そのセリフは疑問文になるし、「!」を付ける事で、強く叫ぶ姿を想像させるし、「!?」を付ける事で驚きを表現できるのかも知れない。


 しかし、これらはセリフが「標準語」だったらの話だ。


 僕は「方言」を使って話すセリフを書きたいと思っているのだが、これが文字に起こしてもなかなかうまくいかない事が多い。


 表現しやすいのは、文字に起こした時にあきらかに標準語とは違う方言だ。


 例えるなら「大阪弁」「博多弁」「広島弁」とかだろうか。


 大阪弁は、テレビでもみんな馴染みがあるし、ある程度聴き慣れているせいか、きちんと意味まで理解されている様だ。


 しかし、博多弁とか広島弁になって来ると、そもそも言葉の意味さえ分からなくなってくる。


 更に「津軽弁」まで行くと、僕などはそもそも聞き取れない。つまりは文字に起こせない訳だ。


 とはいえ、こういう「文字に起こした時にあきらかに特徴が現れる方言」はまだ個性的で良いのだが、北関東の方言などは本当にどう表現したら良いものかが分からない。


 ある日仕事で茨城県まで行った時の事。


 とあるコンビニでホットドッグを購入し、レジで会計を済ませる時に店員さんが


「温めますか?」


 と訊いてくれたのだが、このセリフのイントネーションが、何とも柔らかくて優しそうな、そういう印象を受けるものだったのである。


 が、「温めますか?」という表現だけでは、誰も「茨城弁」のイントネーションを想像できないのではないだろうか?


 文字に起こせば標準語と何も変わらないだけに、これが茨城弁のイントネーションだと伝えるのは困難だ。


 あの優しい感じを表現するにはどうしたら良いものか。


 誰か茨城県の人、教えて頂ければ幸いです。

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