(23)JK語
日本には不思議な言語がある。
その一つが「JK語」と呼ばれる、女子高生が作り出す、謎の言葉だ。
僕がその存在を知ったのは、1995年に起きた阪神大震災の後だった。
僕がまだ社会人1年生の時で、当時は建築会社で設計見習い業務を行っていた。
1月17日の早朝に阪神大震災が起こり、僕も被災地の中にいた。
幸い僕は怪我もせずに無事でいられたのだが、その後は建築会社の一員として「阪神復興活動」に2年半の間勤しむ事になった。
最初の半年間は鉄道が動かなかったので、早起きして徒歩通勤し、仮設事務所に泊まり込みで仕事をして、また徒歩で帰宅をするという生活を3か月くらい続けた。
その後は車通勤が出来るようになって助かったが、それまでは復興活動に一生懸命で、テレビを見る気力も体力も無く、とにかく仕事に明け暮れる毎日だった。
震災後、半年くらい経った時だろうか、ある時テレビの報道で、女子高生がこんな事を言っていた。
「チョベリグ~」
何となくニュアンスで伝わると思うが、これは「超ベリーグッド」の略語で、女子高生の間で「チョベリグ」とか「チョベリバ」とかの言葉が流行し始めていたのだ。
これは当時「ポケベル」が若者の間で流行し、限られた文字数で要件や気持ちを表すのに大活躍する事になる訳だが、時代が進むにつれて、携帯電話の普及で文字数の制限が緩和された後も「女子高生が創る不思議な言葉」は増殖の一途を辿っていった。
21世紀になると、女子高生達の言語は「JK語」などと呼ばれる様になり、 それはもう異次元の言葉として地位を確立していた。
「マブダチ」「ウケる」「マジヤバイ」「イケてる」「イケメン」などの言葉がどんどん日常的に使われる様になってきて、その後は更に意味不明な言葉が出現する。
「マジKY」
・・・は?
「あげポヨじゃん!」
・・・え??
「マジ卍」
どゆこと!?
・・・・・・
ある日、営業の帰りに電車の駅に向かって歩いていると、二人の女子高生がダルそうに会話をしていた。
「前のテスト、マジヤバかった~」
「え~? 点数悪い系?」
「たぶん地面潜ってる系~。〇〇ちゃんはどんな系~?」
「私、英語とかツルツル系~」
「え~? ツルツルだったらいいじゃ~ん」
・・・・・・
ツルツルって・・・、何が?
誰か分かる人、教えて下さいまし。
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