大騒ぎのこと・後編
511:せくしー
ありがとうございます、みなさん
そして首領たちの様子ですが……
首領「あ、あの。その、へへ……」
勢いでまくし立てていた時はよかったのですが、一度止まるともう駄目です
首領は生まれてこの方基地の外に出たことがありません
はっきり言ってしまうと、対人経験が組織の人員以外にないんです
冷静になるとロスフェアにどう接すればいいか分からずオロオロしています
512:名無しの戦闘員
可愛い=正義理論ならわりとゴリマッチョも正義じゃない?
マッチョな戦士なのに奥さんにデレデレは可愛いと言えなくもないぞ
513:名無しの戦闘員
病気のせいで筋金入りの引きこもりやったっけ?
514:名無しの戦闘員
せめて深窓の令嬢とでも言ってやれ
もう女の子扱いでいいだろうし
515:名無しの戦闘員
>512
やめいw
516:せくしー
そしてそれに対峙するフィオナさんは……
フィオナ「ええと、その。ど、どうも?」
首領「う、うむ。ど、どうもー、なのじゃ」
フィオナ「あの、いえ、こちらこそ……どうもー」
ま さ か の こ ち ら も
なんなんですか
二人してぎこちなく話しながら曖昧に笑っています
先程までと全然違いますよ
517:名無しの戦闘員
あ、ハカセが聖霊天装の時言ってた
妖精と霊的融合する段階で躓くフィオナちゃんは、本質的にはコミュ症だって
518:名無しの戦闘員
自分に自信がない隠れ陰キャなフィオナちゃんですw
519:名無しの戦闘員
ヒッキー×コミュ症じゃ修羅場も起こらんか……
520:せくしー
エレス「でも、よかったね! ひどい戦いにならなくて!」
首領「む、むむ?」
エレス「改めて、ボクはエレス。よろしくね、首領ちゃん」
首領「うむ。よろしく、なのじゃ」
そんな中でエレスさんが首領ちゃんと握手します
戸惑っているフィオナさんにも話を振ったり、二人を取り持とうとしてくれます
おかげでロスフェアの皆さんとどうにか会話ができるようになりました
ハカセさん、凄く優しい目をしていますね
521:名無しの戦闘員
エレスちゃんはわざとなのか天然なのか
522:名無しの戦闘員
どうなんだろう、気遣ったようにも見えるし空気読まないだけの可能性もある
523:名無しの戦闘員
やっぱエレスちゃんがリーダーだ
この子がおらんと普通に瓦解するわロスフェア
524:せくしー
少し話をした後、ルルンさんがホッと安堵の息をもらしました
ルルン「でも、よかった、です。ハカセさんが悪いことをするなら止めたいって、辛いなら助けてあげたいって思っていました。でも、苦しむハカセさんはいなかったんですね」
たぶんこの子なりにハカセさんを案じていたのでしょう
それが無意味になっても、素直に喜べる
ルルンさんはいい子ですね
ルルン「ところで首領ちゃんが首領セルレなら、ハカセさんは勉強とか添い寝とか、メンテナンスをしたんですか?」
ですが、すぐさまブッコんできましたね
525:名無しの戦闘員
なにやら重い女ムーブ
526:名無しの戦闘員
ルルンちゃん!? どうしたの!?
君はそんな子じゃないでしょ!?
527:せくしー
ルルン「……」(じーっ
ハカセ「いや、ルルンちゃん? 違うぞ、確かに勉強は見たが、最後のは怪人の整備の話であって」
ルルン「…………」(じーっ
ハカセ「あの、だからだな? 甘やかしている自覚はあるが、未成年なんだから目くじらを立てるのも」
ルルン「えへへ、ごめんなさい。ちょっと冗談です」
ハカセ「そ、そうか。いや、誤解していないようでなによりだ」
ルルン「そうですよね。未成年だから問題ありませんよね?」
ハカセ「そう、そうなんだ!」
ハカセさん? 誤魔化されてません?
反対にフィオナさんは気にしつつも発言できない様子ですね
エレス「意外とフィオナちゃんは平気そう?」
フィオナ「多少の嫉妬はあるわ。でも、踏み込めるほど深い仲とも言えないし……」
猫耳「こっちはこっちでわりと面倒臭いにゃ」
フィオナ「面倒臭い!?」
いきなり参加してその発言はやめましょうね、猫耳ちゃん
528:名無しの戦闘員
おやおや? ルルンちゃんもう懐いてるの域超えてなーい?
529:名無しの戦闘員
フィオナちゃんあんだけ熱烈に告白しといてそこは躊躇うんだ?
530:名無しの戦闘員
あれだな、カレシの女性関係が気になるけど追及したら嫌われるんじゃ……ってやつ
531:名無しの戦闘員
よう考えたらまだ十代半ばくらいやもんなぁ
つか地味に添い寝は否定してねぇぞハカセw
532:せくしー
首領「ふっ、ふふふ。まあ、私はハカセと付き合いが長いからのう。色々と思い出もあるのじゃ」
ちょっと調子を取り戻したようです
ルルン「むぅ」
フィオナ「……くっ」
エレス「??」(きょとん
この反応で大体分かりますよね
532:名無しの戦闘員
エレスちゃんの相変わらずな蚊帳の外感
533:名無しの戦闘員
ルルンちゃんぇ……
534:せくしー
ただ問題は……修羅場実況スレと言いながら修羅場になりません
いい子なんですよ、首領もフィオナちゃん達も
だからマウントの取り合いにならないし「私の方が彼に好かれてる」みたいな展開にもならない
喧嘩にも発展しません
ああ、このままでは楽しいことが起こらない……!
そう憂える私に、一筋の希望が差し込みました
535:せくしー
I奈「じゃぁ、皆で仲良くゲームしましょ♡」
12歳のサラブレッド戦闘員、生意気系ジュニアアイドルI奈ちゃんです
536:名無しの戦闘員
おお?
537:名無しの戦闘員
意外な人物出てきたぞ
538:せくしー
I奈ちゃん、私はそれほど縁がないのですがLリアちゃん
二人がパーティ会場にやってきました
首領「むむ、おぬし達いったいどうしたのじゃ?」
I奈「もぅ、首領が困ってるから来たに決まってるじゃないですか」
首領「そ、そうなのか?」
I奈「状況は大体分かりました。首領はもう侵略を止めちゃう。ロスフェアのお姉さん達も侵略止めてハカセ様が無事なら戦う気がない。だったらぁ、あとは皆で仲良くなれば全部おっけーってことじゃないですか?」
驚きました
ほんとに状況を一番理解していますよ、この子
I奈「じゃあ、皆でゲームして、お喋りして、美味しいご飯を食べて盛り上がるのが一番です」
ハカセ「おお……I奈、君はとてもいいことを言った。私もそれがいいと思う」
I奈「ですよねですよね? 私すごくないですか?」
奇しくもハカセさんの思惑と一致していますしね
うんうんと頷くハカセさん
そしてI奈さんは、すごく悪戯っぽい笑顔で言いました
I奈「ということでぇ、みんなで桃〇郎電鉄! 賞品はぁ、ハカセ様で♡」
ハカセ「ファッ!?」
I奈「あんまり重すぎる罰ゲームで後に引き摺ったらダメですしぃ、優勝者にお姫様抱っことかどうでしょう?」
ハカセさん、一歩引いた立ち位置だったのに急に渦中です
539:名無しの戦闘員
I奈ちゃん、やるねぇw
540:名無しの戦闘員
うまいこと嵌められた感w
541:せくしー
ハカセ「I奈? き、君は一体何を?」
I奈「ハカセ様も私の意見に賛成してくれました。皆さんもやる気一杯みたいですよ♡」
実際一部のはちょっとニヤけていますね
首領「ふむ、おもしろいのう」
フィオナ「ええ。あくまで懇親として参加するのもいいじゃないかしら?」
ルルン「……」(こくこく頷き
エレス「あれ? これボクまた巻き込まれるヤツ?」
エレスさん、頑張ってください……
541:名無しの戦闘員
変則的だがハカセ争奪戦開催か
I奈ちゃん偉い、百万年無税
542:せくしー
I奈「あとぉ、ただプレイするだけじゃ面白くないし、細々と罰ゲームを入れましょう」
I奈ちゃんの追撃は止まりません
I奈「目的地に到着した時に4位だった人はぁ、罰としてハカセ様にまつわる印象的な思い出を語る!」
ハカセ「あの、私の意思は……?」
I奈「ぶっちゃけると冷静なハカセ様の素顔が知りたいです♡」
ハカセさん、公開羞恥刑が決定した瞬間です
543:名無しの戦闘員
すげえな、この子
544:名無しの戦闘員
なにが凄いってほとんど初対面のロスフェアちゃん達の矢印の向きを一瞬で把握してることだよ
545:名無しの戦闘員
もしかしてI奈ちゃん、今迄にないほどハカセを追い詰めた最強の敵じゃない?
◆
そして戦いは再び始まった。
荒れ狂うサイコロ。
追い越していく電車。
買収される土地。
冬の赤マスの恐ろしさにあえぐ清流のフィオナ。
びっくりするくらいスリの銀〇に狙われるヴィラ首領。
今一つカードの使い方が分かっていない清流のフィオナ。
焚きつけるだけ焚きつけてリリアとケーキを楽しむアイナちゃん。
もう一マスで目的地に辿り着けるタイミングで「六」を出すヴィラ首領。
キング〇ンビーに襲われるヴィラ首領。
ボン〇ラス星に誘われるヴィラ首領。
マイナスの資産が基本になったヴィラ首領。
なお乙女的に参加者全員、一部のカードが使えなかったことをここに記しておく。
激戦を潜り抜け、それでも勝利の栄冠をつかもうとする少女達。
あと4位になった時に語られる思い出。
「ネックレスをプレゼントしてもらいました」とか、
「マッサージしたことがあるのじゃ」とか、
「えーと、訓練してた時にスポドリ貰った?」とか、
「自分からですけど、ぎゅって抱きしめました」とか、
恥ずかしい過去が晒されるたびに銀髪の美青年は「やめて……やめてクレメンス……」と羞恥に悶える。
床でビクビクと痙攣する姿は、まるで陸にあげられた魚のようだった。
そして10年の時が過ぎ(ゲーム内時間)、ついに決着がついた。
1位:浄炎のエレス(124億)
2位:萌花のルルン(67億)
3位:清流のフィオナ(-58億)
4位:ヴィラベリート首領(-59億)
「負けたのじゃ」
「そ、そんな……」
「うぅ、お姫様抱っこ……」
敗者たちの恨みがましい視線が勝者に注がれる。
「あの、ね? ボク、弟がいるから。パーティゲームはそこそこ……。だから、その……ごめんなさい」
浄炎のエレスは非常に複雑な表情をしていた。
◆
765:ハカセ
ということで、首領とロスフェアちゃんのゲーム対決
優勝はエレスちゃんに決定しました
ワイ「えーと、お姫様抱っこする?」
エレス「へっ!? そ、そそ、そんな恐れ多い!?」
まあそういう反応になるよね
766:名無しの戦闘員
なにさらっと戻って来とんじゃハカセぇ!?
767:名無しの戦闘員
お帰りぃ! 心配したんだぞ!
768:名無しの戦闘員
このバカ野郎がぁ!
769:名無しの戦闘員
まあ全部ワイらの勘違いだったンゴね……
770:名無しの戦闘員
なに他人事みたいに言ってんだよ元凶w
771:ハカセ
心配かけてすまんかった
でもまあ、なんだかんだいいところに落ち着きそうや
首領「マイナス…マイナスなのじゃ……」
フィオナ「首領さん、落ち込まないで。あくまでゲームだから」
首領「ふふ。経営の才能もなく、赤字を出してハカセも失う。まるで未来を見せつけられているようじゃ」
フィオナ「大丈夫、大丈夫……ね?」
首領「すまぬのう。おぬしも大赤字を出したというのに」
なんか物凄く落ち込んだ半面、妙に仲良くなったみたいやね
772:名無しの戦闘員
いや、首領ちゃん重いよ
773:名無しの戦闘員
結果オーライ……なのか?
774:ハカセ
首領「フィオナたちも、接してみればいい奴なのじゃ。私はそれも知らずに敵として見ておった」
フィオナ「それは私達も同じ。倒そうとしていた貴女は、ただのお父さん想いのいい子だった」
首領「父には申し訳ないが、敵の顔を知ったらもう刃は向けられぬ。……情けないのう」
それは違う
首領には相手を思いやる心があった、だからフィオナたん達とも分かり合えた
きっと先代ではロスフェアちゃん達と仲良くなることは出来んかった
そやから、この結果は首領だから得られたもんやと思う
そう伝えたら首領は笑ってくれた
首領「そっか。ありがとね、ハカセ!」
なんか、懐かしい表情を見た気がするわ
775:名無しの戦闘員
よかったな、ハカセ
776:名無しの戦闘員
首領ちゃんだから得られた結果ではある
それでも、そこまで辿り着けたのはハカセがいたからだと俺らは思うぞ
777:名無しの戦闘員
首領ちゃんがいい子なのは、いい子でいられるようにお前が頑張ったおかげだよ
778:ハカセ
おまえら、サンガツ
とりあえず組織とロスフェアちゃんの和解は成った
首領も日本侵略の中断ではなく中止を認めてくれた
だから仕上げをしようと思う
779:名無しの戦闘員
仕上げって?
780:名無しの戦闘員
フィオナちゃんとの結婚式か
781:名無しの戦闘員
首領ちゃんの結婚式か
782:名無しの戦闘員
義妹嫁との三々九度か
783:名無しの戦闘員
ハーレム建設おめでとう!
784:ハカセ
そのふざけっぷりに実家のような安心感
マジメな話、ワイらが内々で和解したところで意味はないやろ?
組織の侵略が終わったことを日本の皆様に知ってもらわんとな
つまり、大々的に組織はもう大丈夫だと喧伝する
遠隔怪人セルレリアン……首領セルレをロスフェアちゃんに倒してもらって、事実上組織が動けなくったと示す
あとは、首領は悪くないよアピールも必要かな
785:名無しの戦闘員
……それでいいのか?
786:名無しの戦闘員
デルンケムはお前にとっても大切な場所だったんだろ?
787:ハカセ
もちろんや
でもこれは必要なことやし、色々ケジメはつけんと
ってことで、おまえら!
ワイらの茶番、首領セルレの散りざま、楽しんでくれ!
788:名無しの戦闘員
この祭りもそろそろ終わりかぁ……
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