#14コア目

イレーナから治癒を受け、修行に戻るシュレット。



「よし傷治ったな。まだ魔力残ってるか?」


「うん、全然使ってないからまだまだいけるよ!」


「んじゃさっきの反省を生かしてもう一周行ってみようか」


「はい!」



と同時に再度魔力を身体に通していく。

先ほどの感覚を忘れないようにまずは五十滴から。


小さい身体で感じる風は爽快だ。

調子に乗ったら先ほどのような失敗に終わってしまう。


次の魔力は慎重にちょっとずつ流す。

五滴ずつ。少しギアが上がった。



(一旦八十まであげてみようかな)



魔力回路に流していく魔力を増やす。五滴増やして八十五。

また五滴、これで九十。


この辺りから身体がついていかないような感覚がしたシュレット。



(四歳の身体では九十滴が限界か。キリ良く百行きたかったなぁ)



心の中で愚痴りながらも、庭一周をゴールした。



「いいじゃないか、感覚掴んだか?」


「うん、多分これ以上は身体がついていかないかも」


「うんうん、いい調子だ。よしこれからは毎日二十周はしてみよう。

 走り込みは自力をあげるのにも持ってこいだからな。

 魔力量的にも二十周だったらギリギリだろ?」


「に、にじゅう・・確かにギリギリだ・・・が、がんばるね。あはは」


「よし、次は障害物を見立てた走り込み練習だ」


「障害物? この広い庭には障害物なんてないよ?」


「いるじゃないかここに。俺だよ俺。」


「えぇ? どういうこと?」


「じゃあ説明だ。まずシュレットはこの庭を自由に走れ。んで走ってる最中俺がシュレットの目の前に現れる。シュレットはそれを咄嗟に避けるんだ」


「んー?」


「想像しずらいだろうから実践してみよう。シュレット、さっきのように身体強化使いながら走れよ?」


「わかった」



そう言って走り始めたシュレット。


自由にと言われるがまま、ジグザグに走ってみたり、緩急をつけて走ってみたり、九十度や百八十度に角度をつけてみたりと色々試してみた。



自分の身体がどこまで動くのかというお試しも兼ねてやっていると、急にマルズレットが目の前に現れた。

お試しに夢中になっていたというのもあるが目の前に現れる音や動作などがマルズレットには一切なく、

咄嗟の判断ができず、マルズレットとぶつかってしまった。



「こういうことだ。どうだ、練習になるだろう」


「なるほど! うん、これは確かに練習になるね!」



そう、転生前でいうところの鬼ごっこだ。

転生前の何かの書物でもみたことがある。


小さい子供は、身体を動かす遊び経て、身体作りをしているのだと。


動体視力や体力作り、反射神経なども鍛えられ一石三鳥並の練習だとシュレットは思ったのだった。

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