#5コア目

それは二歳になったシュレットが母とお茶を嗜んでいる時である。

ドアからノックの音が鳴り、失礼いたしますの声と共にドアが開いた。



「奥様ご無沙汰しております。不肖エリオット、ただいま帰還いたしました。」



執事の格好をした如何にもイケおじの人が母の元を訪れた。



「まぁまぁ! エリオット! もうご実家の方はよろしいのですか?」


「はい奥様。先日ようやく落ち着き、今しがた戻った次第でございます」


「そうなのですね。お疲れ様でした。まだ疲れが溜まっているでしょう。今日のところは休んでもよいのですよ?」


「奥様のご好意大変恐縮致しますが、随分とお休みをいただいた手前、本日から復帰させていただきたいのです」


「そう? ではお願いしますね。そうそうエリオットは会うのは初めてよね。

 あなたがご実家に行っている時に生まれたシュレットよ。シュレットご挨拶できるかしら?」


「シュレット・カールストンです。二歳です。よろしくお願いします。」


「これはこれは。聡明な御子息でございますな。ご挨拶ありがとうございます。

 初めましてでございますシュレット様。わたくしこちらのお屋敷で執事を務めておりますエリオットと申します。

 以後お見知りおきくださいませ。」



エリオットはそう言い、左手は真っ直ぐに、右手は腹に手をあて、綺麗なお辞儀をした。



「それでは奥様、シュレット様、わたくしはこれにて失礼いたします」



またお辞儀をしてエリオットは退室していった。



「母様? エリオットの実家って?」


「そうね。シュレットはまだお腹の中にいたものね。


 エリオットのご実家は一族で執事やメイドを輩出しているのよ。

 それでエリオットはその一族で唯一免許皆伝というのかしら? その類をエリオットのお父様から頂いてるそうよ。


 そして二年前、まだシュレットがお腹にいる時にエリオットのお父様がお亡くなりなって、

 一族での執事教育が中途半端に終わってしまったの。


 こちらでの執事業は一時お休み、まぁ当時エリオットは頑なに行かないと言っていたのだけどね。

 マルズと話し合って私たちが強引に実家に帰したのよ。


 それでエリオットがその教育係になり、やっと帰ってきたってわけね


 エリオットは子供が好きなようだから、今度いっぱい遊んでもらいましょうね」


「はい!」



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