白夜

好きです

　上を向こうとしている人が好きです。

　傷ついて、もう頑張れないって、弱音を吐くときはあっても、それでもどこか諦めきれなくて、べそかきながら、傷口に埋もれた砂をはらって、懸命に立ち上がろうとする人が好きです。

　その泥臭さが好きです。不器用ながら必死に生きようとする姿が好きです。誰もあなたを褒めようとしなくても、私だけはあなたを褒めていたいです。

　よく生きていますね。頑張っていますね。あなたの歩き方素敵ですね。あなたの足跡も最高ですね。

　傷ついたことのある人は人に優しくできる人なんて世間は簡単に言うけれど、それって言葉以上に難しいことだと思うんです。だから私は人に優しくあろうとするあなたが好きなんです。優しさというのは、損得で考えれば圧倒的に損だけど、それでも損得で優しさを考えないあなたの心の柔らかさが好きなんです。

　それでも時々、休んでください。

　優しさは使えば減るものだから、上を向き続ければ首は痛くなるものだから、傷口は乾くと痕が残るものだから、だから少しくらい泣いたっていいんです。俯いて、足元に涙を落としてもいいんです。いつかそこから芽が生えて、きっとあなたを豊かにするから。その豊かさは人に伝って、新たな花を芽吹かせるから。

　だから今は、がんばっていきましょう。