第2話 バーサーカー

 話の内容? 


 ほとんど聞いてねえよ。つーか面白くなさすぎて覚える気にもなれねえ。


 まあ簡単に言えばあれだ。この国が魔王ってやつに苦しめられてるから助けて欲しいってことだ。

 この国の勇者だけじゃ力不足だから、他の世界から人を集めてんだとよ。


 とまあここまでがテンプレの流れ。とすりゃあこの後ももちろんお決まりのあれだ。


 王様は少し口調を替えた。


「ではこれより”クラス”適性を調査していく」


 きたきたこれこれ!


 やっぱ異世界といやあこれだよな。さあ早く無双させてくれ。


 クラスメイトが順番に王様の元で、何かを受け取っている。どうやらそれは何も書かれていない真っ白のカードのようだが。


「トランプか?」


 すると王様が声を張った。


「今のカードはクラスの適性を量る物だ。自分の心理や表現、思想など、様々なものが判断材料。数分もすればカードに自分の適性が浮かび上がるはずだ」


 すると初めの方にカードを配られたクラスメイトが声を上げる。


「すげえ! 俺剣士だって!」


「私は魔法士だわ!」


「俺は―、なんだ? ビーストテイマー?」


 と、大体配られた人順にクラスが発表されていく。

 すると隣にいたカンちゃんが声を上げた。


「うお、すっげえ! 俺薬士だって!」


「ぎゃはは! 確かになんか毒物作ってそーだな!」


「俺は弓士だったぞ! あとは昇だけだな!」


 杉松は弓かあ。

 んでカンちゃんが薬士。うん、バランス良いね!


 あとは俺が無双するチートを引き当てるだけ。


「お、俺もなんか浮かび上がって……あん?」


 俺のカードにも文字が浮かび上がってきたかと思いきや、なぜかカードが真っ黒に染まっていった。


「んだよこれ。文字なんかみえねーぞ」


 するとカードに、赤色で狂戦士と刻まれたのだ。


「あのーすんません。なんか俺のカードバグってるんすけど」


 俺はあの王子にカードを見せに行った。

 だが王子の反応は俺の予想外のものだった。


「な、なんでそれが……!」


 驚きのあまり言葉を失っているようだ。


 ってこたあやっぱりこれすげークラスなんじゃねえの!? 分かってるじゃねえか!


 だがその後は何事も無く、基礎知識の学習という名目で、クラスメイトと一緒に別室に連れていかれた。

 が、そこからだ。俺への扱いがおかしくなったのは。


 王子は俺に詰めかけてきた。


「おい、ノボルと言ったか。お前は別室だ」


「はあ? んでだよ」


「お前が魔王側のクラスだからに決まっているだろうがっ!」


 魔王側あー? ンなこと言われても知らねえよ。


「なあカンちゃん、杉松。なんとか言ってやってくれよ」


「……」


 だが二人とも返事をしなかった。


「無視すんなよ、おい」


「……お前、敵なんだろ」


「……あ?」


「俺たちの、敵なんだろ? そんな奴、友達でもなんでもない」


「おいおいふざけんなよ! 敵? ンなこと知るかよっ! 大体こんなん適当に振り分けられてるだけだって!」


「思想や心理に基づいて振り分けられるんだろ? ……お前、普段なに考えて俺たちとつるんでたんだよ」


「はあ? 何考えてってお前らと変わんねえよ! おい、てめえ離せよ!」


 すると俺は兵士二人組にずるずると引きずられていった。


「おい! 誰かこいつら何とかしろよっ! おい!」


 だが大人二人の力に適わず、強引に別室に連れていかれてしまった。

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