第63話 お、大爺様すげぇ!
「グレイ!大福!餌の時間だぞ〜」
俺がドッグフードとキャットフードに、それに加えてペットでも食べれるケーキを作ってそれを床に置くと、はぁはぁと息を荒くしてグレイは走ってくると、餌の前で涎を垂らして、大福が来るのを今か今かと待ち構えていた。
そんなグレイの事はどうでもいいかの様に、大福はあくびをしながらゆっくりとこちらへと歩いて来た。
「ほら、グレイに大福たーんとお食べ」
俺はグレイと大福の頭を撫でながらそう話した。
あの配信の後、宣言通り俺がグレイの上に大福を乗せた画像をツイッターにあげた所、それがびっくりグレイと大福の画像はバズり、俺のことを放っておいてどんどん2匹は人気になっていった結果、それ以来俺のツイッターはグレイと大福目当てで見にくる動物好きと、俺が前からちょくちょくあげている料理の画像やレシピを見にくる奥様方に、そんなに勢力には劣るが九重ホムラのファン及びアンチの、3勢力がごった煮状態になっていた。
まぁそんなおかげで俺のツイッターはグレイと大福のおかげで、ありがたい事にフォロワーが5万人を超え、俺のユーチューブの登録者の約2倍近くになっていた。
そんな訳で俺はグレイと大福に感謝の意も込めて、作るのは初めてだったのだがペット用のケーキを作ってあげたのだ。
俺の作ったケーキを美味しそうに食べている2匹を見ながら、俺はニヤニヤと笑みを浮かべていると、仕事用のスマホが鳴った。
誰からだろう?ハジメか?
そんな事を思いながら俺がスマホの画面を見ると、そこには俺達一期生のマネージャーの様な事をしてくれていた園野さんから連絡が来ていた。
その名前を見た俺は先程までのゆるい顔から一瞬で、真面目な顔つきに変わり連絡を取った。
『もしもし園野さんどうかしましたか?』
『あ、ホムラさん朗報です。多分ですけど例の件うまく行きそうです。』
俺が電話に出て園野さんに質問をした所、園野さんは前見た時の様な暗い感じは一切なく、まだ運営があんな事になる前の様にハキハキとした声でそう話をしてくれた。
園野さんの言う例の件とは、以前meme先生にも説明した事のある、九重ホムラの権利をユメノミライと言うよりかは、ユメノミライを運営して居る会社からダッシュすると言う作戦だ。
正直俺的にはこの作戦に関しては、すぐに結果が出るとは思ってなく、こんなにも早く園野さんから連絡が入った事に驚いた。
と言うか園野さんからの連絡で、例の作戦が現実味が増して今更ながら俺は、本当にこんな作戦で上手くいくのか?
と少し心配になって来た。
その成功するかもよくわからなくなって来た例の作戦と言うのは、その名も【ごり押せ!金と権力で権利をダッシュ作戦】だ。
その作戦内容は作戦名の通り、権力と金で腐った運営から無理矢理奪うと言った作戦だ。
実は母方の実家に行った際に大爺様が、俺の今の現状を知った際に静かに怒り、そこで俺が九重ホムラの権利を手に入れたいと話した時に、大爺様は自分を後ろ盾に使ってもいいと言う事を言われたので、俺は元作戦【ごり押せ!金の力で権利をダッシュ作戦】から、【ごり押せ!金と権力で権利をダッシュ作戦】へと変更する事にした。
前にも行った事があるとは思うが、うちの運営と言うよりかはその上層部は、vtuberと言うものには全く興味はなく、その実態は金と権力に目が無いだけの無能集団なので、元々俺は金さえ積めば簡単に九重ホムラの権利を譲ってくれるとは思っていたが、それだけだと多分足元を見られて結構吹っ掛けられると思っていたので、金が貯まるのに時間が掛かっていたのだが、権力の権化と言ってもいい大爺様の名前を借りれるのならば、虎の威を借る狐ばりに大爺様の権力を使えば、あのガバガバだった作戦は、あっという間に成功率99%とを超える作戦へと変身したのだった。
とは言ったものの、その作戦は俺が運営の上層部と直接会って話さないといけない為、その為にはまずは俺がその運営の上層部に会わないといけないのだが、俺如き一般企業勢クソ雑魚vtuberが、腐っても大手とは言えないが、名前の通っている企業の上層部と簡単に会えるわけもなく、その辺を園野さんに頼んでいたのだが、まさかこんなにも早く連絡が来るとは思っていなかった為、俺は驚いた。
『え、もう話がついたんですか!?』
『はい、ホムラさんに言われた通り大爺様さんでしたっけ?その人の名前を出したら、すぐに返事が来て話し合いがしたい。……との事です。』
『なるほど、わかりました。それで日時は?』
『はい、それはですね……』
そんな訳で1週間後に俺と園野さんで、ユメノミライを運営をしている会社の本社に行き、話し合いする事になった。
そうして俺は園野さんとの通話を切り、そして改めて思ったのだが……
「お、大爺様すげぇぇ!」
流石は金城との縁談を取って来れる程の男だ!
その圧倒的な権力、レベルが違ぇぜ!
「って言うかこんなにもあっさり行くなら、もっと前に相談しとけば良かったな」
俺は過去に何度も抗議したりしていた事を思い出して、何ともやるせ無い気持ちになりながらも、もっと早くに手を打っておけば、前のライブにももしかしたら出れていたかも知れないと思い、少し落ち込みその場に座った所、グレイと大福は落ち込んでいる俺を見て、慰めようとこちらの方へと来ると、頭をスリスリと擦り付けて来た。
その様子に俺の心は癒された。
「お前ら慰めてくれるのか!かわゆい奴らめ〜!」
そう言って俺はグレイと大福を両腕に抱えて、わしゃわしゃと撫で回した。
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