第10話 後輩まさかの大炎上

コラボ配信後の通話


「いやー今回のコラボも大成功だなホムラ」

「改めてだけど本当にありがとう。まさか俺のチャンネルで同接数四桁行くとは思ってなかったから。実はちょっと涙出た」

「あーでもその気持ちわかるな。ほら俺も始めの方あんま人気出なかったけど、人気で始めた時で同接数四桁行った時は仲良いvtuberにメッセージ送りまくったからな」

「スッゲェ迷惑じゃんw」

「それぐらい嬉しかったんだって」


そんな感じで2人で今後のコラボの事や面白いゲームなどの情報交換をしていると、ハジメがいきなり変な事を聞いて来た。


「なぁホムラ歌姫 クラゲってお前のとこの三期生だったよな。確か」

「そうだけどそれがどうした?もしかしてコラボしたいとかか?すまんがそれは俺に言われても困るぞ」

「いやそうじゃなくてな。なんかお前と同じレベルで炎上って言うか大炎上してるぞ」

「……………………は?」


正直こんな一言だけど頑張って言葉を捻り出した事を褒めて欲しい。


いや何故歌姫 クラゲが炎上してんだ?それもボヤレベルじゃなくて大炎上って。


流石に昔炎上体質のあったハジメの言う事だから見間違えとかじゃないとは思うけど、三期生はまだデビューしてから1ヶ月も経ってないんだぞ?


それで何故というかどうやってそこまで炎上したんだ?


「ハジメそれってどこの情報?」

「いや俺も知らなかったんだけどうちの後輩からホムラの後輩が燃えてるって情報が来て、ツイッター調べたらスッゲェ燃えてて流石にびっくりした。」

「マジかよ。ちょっと調べてみるわ。今日はコラボありがとな。それと報告してくれた後輩に感謝伝えといてくれじゃあ」


そう言って俺は一方的にハジメとの通話を切り、ツイッターなどを使って何故歌姫 クラゲが燃えているのかを突き止めようと思った。


そしてそれは簡単にわかった。なんと歌姫 クラゲには彼氏が居たらしい。


その彼氏の声が配信にのりテンパった歌姫 クラゲは言い訳もできずにそのまま配信を一方的に切ったらしい。


「何というかこれは燃えるべくして燃えたって感じだな。まぁでも特にこれに関しちゃ俺に出来ることもないし運営がどうにでもするか。まぁでもその前に件の動画でも見てみるか、どうせ誰かが切り抜き上げてるだろうしな」


俺は手持ちのスマホで【歌姫 クラゲ 彼氏】とネットで検索にかけるとそれはそれは大量の切り抜きやネット記事が出てきた。


俺はその中の切り抜きの一つを開いた。


それは普通の雑談配信の一部だった。


「それでねこの前食べたワッフルが凄く美味しくてね」


コメント

:クラゲちゃん甘いの好きだもんね

:何処のワッフル?

:そんなに食べて大丈夫?


「大丈夫だよ!私これでも細い方なんだし」


そんな風に視聴者と一緒にワイワイと話し合っていると、その奥で微かに男の声が聞こえた。


だがそれは俺が男の声を集中して探していたのと、字幕があったから気付けた様なもので、これを配信中に気付けた奴は本当にすごいな。


コメント

:あれ?今男の声聞こえなかった?

:気のせいだろw

:クラゲちゃんがそんなことするわけないだろ。アンチか?

:アレ?どうしたのクラゲちゃん?


「……あっ」


それから歌姫 クラゲはマイクをミュートにしたのか何の音も聞こえなくなり、画面に映る歌姫 クラゲがわちゃわちゃと左右に動く姿で動き回り。


最後には視聴者のコメントも無視して歌姫 クラゲは一方的に配信をきった。


「これはやっちまったな。にしてもこの男の声何処かで……」


そんな事を考えながらその切り抜きを何度か見ていると中学校から帰ってきた真冬がドタドタと大きな足音を立てて、ノックもせずに俺の部屋の扉を開け放った。


「ねぇねぇ夏兄!この炎上してるvtuberって夏兄の所の三期生だったよね」

「お、おうそうだぞ。それと女の子がそんな足音を立てて走るのははしたないからやめなさい。あと俺が配信中かもしれないから次からはちゃんとノックしてね」

「う、うん。ごめんなさい。ってそんな事じゃなくてこの人ってあの美人さんじゃない?」

「あのって?どのだ?俺の目の前にいる美人さんかな?」

「もう、今はそんな冗談じゃなくてほらこの前夏兄とワッフル食べにいったじゃん!その時にほら!」


そう言われてその時のことを思い出すと、何となく微かに多分きっとあっているかはわからないがなんとなくその顔を思い出した。


「あーアレねアレ」

「夏兄おぼえてないの!?もしかしてその年でボケ始めてるの?」

「いやすまん。でもな本当に何となく思い出したから。アレだろ彼氏がすごい遅れてきた感じのアレだったカップルだろ」

「そうそれ」


成程だから何となく聞き覚えがあったのか。納得納得……


「ってえぇぇぇぇ!!!そんな偶然あるか!?」

「ねっね、凄いでしょ学校で気づいた時早くお兄ちゃんに自慢したかったんだ!」

「流石は俺の妹だ!すごいなぁ流石だ真冬!」


そうやって真冬を褒めちぎると、真冬は顔を赤らめながら若干とろけた顔でニマニマしていた。


これが本当に俺の妹なのか!可愛すぎるぞ!そんな顔されたらお兄ちゃんまた奮発したくなっちゃう。


はっ!成程これがスパチャをしている視聴者の気持ちか、今まで何でスパチャなんてしてるのか全く分からなかったが、そう言う事なら納得だな。


にしても本当に凄いな、まさかたまたま食べに行った店に顔も名前も知らない後輩と件の彼氏が来ているとはな。


と言うか兄とか友達とかじゃなくてマジで彼氏だったとはな。


まぁうちの事務所は特に恋愛禁止とかないし当たり前っちゃ当たり前だな。


それに多分あの感じだったら歌姫 クラゲになる前から付き合ってるだろうな。と言う事はその事は運営も知ってると思うし、まぁいつかはこうなると運営も考えてたと思うしなんだかんだで直ぐに火消しされるだろうな。


「どうしたの夏兄?」

「いや何でもない。まぁこの件は俺達が考える事でもないだろうし。それにそろそろ晩飯の時間だし、それに真冬は帰って来たばかりで汗もかいてるだろ。ほらお風呂にでも入ってきなさい。」

「はーい。夏兄今日の晩御飯なに?」

「チーズハンバーグでどうだ?」

「上にチーズが乗ってるやつ?」

「中にチーズが入ってるやつだ」


それを聞いた真冬は喜びながら着替えを持って脱衣所に向かった。


そして俺も真冬に続く様にパソコンの電源を落として部屋を出るのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る