遭逢-souhou-1

 ___これは、俺と樹矢の出会いのお話。



 カシャ…カシャ……


「お疲れ様でしたー」


 今日はある女優さんの写真集の撮影日。ここのところ、毎日のように彼女を中心に衣装や背景を変えて撮っている。問題も少なく順調に進んでいるので、このまま予定通りに行けば明日で撮影が終わる。



「また明日よろしくお願いします!」


「こちらこそ、よろしくね」



 挨拶も程々に撮影現場を離れる。俺はただのカメラマン。主にメディアに出ているタレントさんを始め様々な業種の人とも会うが、プライベートで関わることはほぼゼロだ。

 自宅兼オフィスになっているマンションの一室へと真っ直ぐに帰り、さっそく今日撮ったデータの編集作業を始める。



 ~♪~~♪


 集中を遮るように携帯の着信が鳴る。

 特に相手が誰かも画面を確認せずに電話に応答した。



「はい。須藤です」


「あっ。お疲れ様です。成田ですけども、お久しぶりです。須藤さん」


「あぁ!成田さん!本当にお久しぶりですね。どうしたんですか?」



 読者モデルから俳優まで広く所属している大手の事務所のマネージャーをしている成田さんからだった。

 俺がまだカメラマンとして駆け出しの頃、成田さんも新人マネージャーでその時に付いていたモデルさんを撮っていた頃に知り合った事があった。


「実は最近、別のモデルさんのマネージャーになるように異動になりまして、今度その方の宣材写真を須藤さんに撮っていただきたいなと思ってまして……」



 そのモデルさんは今後、成田さんの事務所で推したい一人らしくファンクラブ設立等も始動 させていくらしい。俺には、そのPR用に使う宣材写真撮影のお願いだった。



「成田さんのお願いならもちろん引き受けますよ。早速日程なんですけど……」



 顔合わせ兼打ち合わせの日にちを決めてあとは追々メールをすると伝え、電話を切った。



「モデルさんかぁ。どんな人だろな。事務所で推すくらいだもんなぁ。ダイヤの原石なんだろな」



 と、相手の事を気にはなりつつも俺は仕事に戻った。

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