たずねびと
どうかお聞きになってくださいまし。
あの時、ゆくあてもなく彷徨う旅人を引き留めてくだすった御方。
寂しいと、そう言ってくだすった御方。
あたくし今でもあなた様のお言葉を反芻いたしましては、幾度となく放り投げようとした筆を握っております。握りしめております。
今では調子乗りもいいところで、お話なんか、書こうとしている始末です。
紛れもないあなた様が……あなた様があたくしを、生かしたんですのよ。そうしてあたくしは生き延びたんですのよ。
またどこかで袖触れ合うことができたらと、密かに夢見ておりますが、そんなのは奇跡という言葉も追い付かぬほど稀有なことに違いないのでしょう。
それでももし、またどこかで会えたら、とても、嬉しく思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます