第29話 rank-1の実力
「さ、沙也加先生…ちょっと…マ…マジですか?…」
「まだまだ序の口よ♪どんどん行くわよ♪」
「ひぇーーー」
・・・
「くっ…いや…本当…僕…限界です…」
「も~う…根性ないな~♪」
・・・
「根性とかの問題ですか!!この文量は!!」
「へ?何が??」
「こんな分厚い本を…10冊も…一週間で??
僕…もう今日だけで脳が溶けそうなんですけど…」
「んん~…そんなに量多いかな…」
家庭教師の時と同じく沙也加先生の教え方は上手かった。
お陰で会社の基礎知識の方は順調に吸収できたが…
問題は新しい事業の勉強の方だ…
一緒に勉強しているのだが…僕は舐めていた…
rank-1という肩書の実力を…
実は僕も高校では学年トップの成績を収めている…
正直学力はそれなりの自信があった。
だが…そんな自信が紙屑のように打ち砕かれた…
頭の良さの次元が違い過ぎる…
僕が本の8ページ分の内容を理解するのに、
沙也加先生は本の70~80ページ分理解している…
そりゃ僕の先生だったし、医学生なんだから僕より頭良いのは分かってたけど…
「ふぅ~…まあ基礎知識としては大体把握できたけど…
問題はこれをどうユーザーに展開していくかだね~」
「…僕は基礎知識すらまだ把握できてないですけど…」
「恭っち、本読み込むのはもうやめよう。
基礎知識は専門用語の意味の理解とかでさら~っとで良いかも。
結局がっちり基礎知識固めてもそれほど意味はなくて、
発想力の方が大事だわ…これは。」
「…はぁ…」
「恭っちも頭ショートしかけてるし、
明日からは具体的にVtuberのコンテンツを実際に見て
ユーザーに受けているポイント等を分析していこう♪
それから英語になると恭っちの読解力速度が急に落ちるから
私が教えても良いけど…専門家に教えてもらおう。
雪奈姉にお願いしておくよ。」
「す、すみません。専門家って?」
「2nd-Generation rank-1 Jeff Robertson 男性よ。
人当たり良いから大丈夫よ。通名はジェリー、皆もそう呼んでるわ。」
・・・
次の日から英語の講師としてジェリーさんが加わることになった。
「Nice to meet you, Kyo.
I am Jeff Robertson of 2nd-Generation rank-1.
Please call me Jerry.
It is a great pleasure to meet Kyo, the son of your father, whom I respected very much.」
(初めまして、恭
私は 2nd-Generation rank-1 の Jeff Robertson です。
私の事はジェリーと呼んでください。
尊敬していた貴方のお父様の息子である恭に会う事ができてとても嬉しいです。)
「Nice to meet you, Jerry.
I am glad to meet you too.
I look forward to working with you from today.」
(初めまして、Jelly
私も貴方に遭えて嬉しいです。
今日から宜しくお願いします。)
ジェリーさんは沙也加先生の言う通り本当に人当たりの良い人だった。
そして、沙也加先生同様にメチャクチャ頭が良いし、実は日本語も上手い。
雪奈さんが言うには、今後も僕は各Generation別のrank-1の方々と
仕事をすることになるらしいが…
僕はそのレベルの高さについていけるのだろうか?不安しかない…
教え方も英語に関しては沙也加先生以上に上手い。
お陰で僕の英語力はこの日を境にメキメキ上達していった。
・・・
沙也加先生とジェリーさんと学んで半年…
悪戦苦闘の毎日で正直授業内容についていくのがやっとであった。
余計な事は一切考える余裕すらなかったのはある意味好都合だったのかもしれない…
ある日僕は沙也加先生に以前から興味のあった事聞いてみた。
「沙也加先生、質問したい事があります!」
「何~?恭っち??改まっちゃって…乙女の秘密は…そう簡単には教えないわよ♪」
「そんな事聞きません!!(苦笑)
沙也加先生も施設(カンピオーネ)の出身なんですよね?」
「そだよ♪」
「じゃあ…奇麗なお花を咲かせるお姉さん…じゃなくて…
橘さんって知ってますか?」
「え!?…あ~…橘さん…それなりには…知ってるかな?…」
「そうなんですか?
実は…僕小さい頃に施設(カンピオーネ)に3ヶ月くらい通っていた時があって
その時に知り合って、以来凄くお世話になっている…心の友なんです!!」
「そ、そうなんだ~
信頼しているみたいね~
よ、良い事だと思うよ~うん。」
「…機会があったら直接会えたりしないかな~って…思ってるんですけど…」
「いや~…それは~…難しいかな…
人と会うのが苦手な子というか…」
「ですよね…顔の傷を気にしてますしね…」
「ちなみに沙也加先生から見た橘さんはどんな感じなんですか?」
「う~ん…凄く頭の良い子だよ~
家事とかも上手くて女子力は高いと思うけど…
それ以外は逆にへっぽこ!!」
「へっぽこ!?」
「お金に無頓着…お金に執着がないとも言えるわね…
無鉄砲…人の気持ちも知らないで無茶ばかりするわ…
悪戯好きの小悪魔…
とてつもなく能力高い癖に…変な所でドジすぎるというか…天然というか…」
(なんかそれなりにという割にはやけに具体的だな…実は仲が良いのかな?)
「い…意外です…
手紙の内容からだと心の優しい完璧な淑女のような雰囲気なんですけど…
沙也加先生が知っているならば、きっと雪奈さんも知ってますよね?
今度雪奈さんにも聞いてみよ。」
「き、聞かなくて良いから!!!
い、いや聞いても良いけど…さっき私が言ったへっぽことか
へっぽこ理由は言わないで!!
絶対だよ!!!」
「いや…はい…」
沙也加先生が珍しく狼狽えていたが…今度雪奈さんにも聞いてみよう。
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