16 おっぱい枕 ※R15?

シノさんの作った夕食のカレーの出来は、問題のないものだった。

次は僕が手を出さなくとも、煮込み系ならイケるだろう。



で……夕食後はお風呂。


チャプ チャプン


「広い風呂だなー」

「だろー?」

「お前がドヤるなよ」


我が妹ヨミちゃんとの兄妹水要らずな入浴タイム(矛盾)。

昨夜の姉妹と違い、水着などある筈もなく、タオルを巻くなどマナー違反(という本人の考え)なので、お互い生まれたままの姿。


「(ジー)少し前までツルンとしてたのに、今じゃ鍛え上げられてボンッと立派な大胸筋になったね」

「鍛えてもこんな膨らみ方はしねぇだろここは」

「実際大胸筋みたいなもんやろ。こりゃあもう、君には力負けしそうだなぁ」

「そもそも私から勝った事ねぇ癖に」

「なにぃ? 勝負だっ」


ガシッ

お互い両手を強く握り合わせて押し合いっこ。

グググッ!


「ぐわぁーっ、テコの原理があっ!」

「普通に力負けだよ」

「おらっ、脇腹っ!」

「ちょっ! おまっ、両足使(ってくすぐる)のは卑怯っ……んやぁっ」

「へへ、ここが弱いのは相変わらずグハッ! て、てめぇ……腹蹴るとか恥ずかしくないんかっ」

「お前が恥を知れっ」


バシャン! ドパァン!

……お風呂の湯が半分になった辺りで、僕らも冷静になり。


「ふぅ。と、まぁこれで、僕がここの子達に大切に扱われてるってのを分かって貰えたと思うが」

「分かる要素あったか? だとしても、ペットみてぇなもんだろ」

「女と暮らす男なんてペットみたいなもんやろ」

「どういう理屈だよ」

「兎に角、君が来るとシノリノが居心地悪そうなんだ。僕の扱いには安心しただろうからもう来るなよ?」

「安心してねぇがどっちにしろ来ねぇよ。約束通り、週の半分以上実家に帰れよ」

「約束してねぇんだよなぁ……」



風呂上がりはお互いをタオルで拭き拭き。


「そういや寝巻きは?」

「あるわけねぇだろ。貸せよ」

「シャツとパンツ(ボクサー)はあるけどブラは無いぜ? 姉妹には期待するなよ?」

「無くても良いだろ」

「せやな。(無いと垂れるだの形崩れるだのそういうのは)知らんけど」



髪を乾かし合い、歯を磨き、それから僕の部屋に。

昨夜は姉妹とシングルベッドに三人で狭かったが、今日は二人なので少し余裕がある。


「この部屋の中だけは実家とそっくりそのままだな。わざわざ昨日配置換えしたのか」

「いんや? ノータッチ。なんかリノちゃんが引っ越し業者の人に細かく指定してたなぁそーいや」

「……実家に入れた事は無いんだろ?」

「うん」

「おいやっぱヤベェぞここに住むの」

「大袈裟だなぁ、部屋の中身を知ってたくらいで」

「監視カメラの類が無いのはさっき(来た時に)見たが……」

「まぁ監視するくらいなら部屋までくるからねぇあの子は」


そんなこんなで、引っ越し二日目の夜も終了。

今の所トラブルも無し。


「しかし、同棲が学校の友達らにバレた時が怖いなぁ。どんな殺意の目を向けられるのやら」

「おめぇ(ダチ)いねぇだろ」


夜も更けてゆき……



ZZZ……



あっ……あのときの…………たすけにきてくれたの?

あ、ありがとう……

……ちょこ?

うん……たべる……

お、おいしい……


りの!


あっ、おねえちゃん……

この人が……りのを……


あなたが……?



……はぁ、ったく、やめろっつったのに、くびつっこみやがって。

そんなにひーろーになりたかったのか? おにー。

まぁ、そんなよこしまなもんは、さいしょからないんだろうが。

とにかく、もうあいにいくなよ?



ZZZ……



朝。


「むにゃむにゃ……うーん」


ムニュン ムニュムニュ


「うーん……? 顔に柔らか……感触…………あー……なんだ、ヨミちゃんのおっぱいかぁ」

「ンガッ! (ビクッ)……うーん? ふぁぁ…………(ムクリ)…………あー……ここ家じゃねぇんだっけか……」

「えー? あー、そうだったねぇ……ヨミちゃんのおっぱい枕があるからまた勘違いしてたよー」

「ひとの乳を判断基準にするな……ふぁー……」


僕らはダラダラと朝の準備をする。


「てか一度実家帰るん? フツーにガッコーあるし、着替えとかさ」

「一日くらいこのままでいいだろ」

「その(寝巻きの)僕のパンツとシャツは良いとして、学校でもノーブラ継続? ◯首立ったらバレない? 絆創膏貼る?」

「知らんけど汗で剥がれんか?」

「あり得る」

「まぁ、どうにかなるだろ」


着替え終えた僕は、先にキッチンに。

そこには既にリノちゃんが朝食の準備を始めていた。


「はよー。手伝うよ」

「おはー」


献立は……ふんふん。

材料ざっと見た感じ、トースト、目玉焼きとウィンナー、ミネストローネというオーソドックスな感じ。

タンパク質と食物繊維でバランスがいい。


トントントン グツグツグツ


「そーいや、昨夜は大人しかったね」

「なーにー? 会長が居てもお構いなしに凸してくると思ったー?」

「うん(素直)」

「まー、あーしも大人だからねー。兄妹の最期のひと時くらい目ぇ瞑るよー」

「僕らどっちか死ぬん?」

「後は『取引』したいってのもあったからねー」

「んー?」


それは、僕と、という意味では無いのだろう。

今更だし。


パタパタパタ


「あら、おはよーシノさん」

「おはようございます。すいません、手伝わずに。何かやる事は?」

「もー殆ど終わってるよー。珍しいねーお姉が寝坊だなんて」

「寝坊ってほどでも無いでしょや」

「すいません……少し夢を……」

「夢?」

「……いえ、言い訳です。出来た物をテーブルに運びますね」


僕とリノちゃんは顔を見合わせ、『?』と肩を竦めた。



そして、朝食後、皆でコーヒーを飲みながら……


「……っていうのを、会長にお願いしたいんだけどぉー」

「あ? 何を言うかと思えば。無理に決まってんだろ」

「いいじゃないですかー、一宿一飯の恩があるでしょー?」

「ちっ、だから昨日は静かだったのか。だとしても厚かまし過ぎんだよ」


ふむ……これがリノちゃんの言っていた『取引』か。


「ね? お兄ちゃんも『したい』でしょー?」

「おい、コイツを使おうとすんなよ」

「んー……確かに今年はお互いまだ『らしい事』してないからなぁ。生徒会長最後の権限、ド派手に使ってみれば?」

「お前も乗せられやがって……」

「ほら、終わった後自販機の【17アイス】買ってあげるから」

「……どうせ無理だろうし、期待すんなよ」

「わーいっ、やっぱお兄ちゃん相手だとチョロいねっ。お姉っ、『何着るか』(部屋で)選んでこようぜっ」

「ちょっ、リノっ」

「チッ……話通ってもアイツらには使わせねぇ」



……で放課後。

僕らは学校の『プール』にいた。

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