第100話 "大剣姫"フリュースティ
冒険者学園ヘクトール グラウンド
「"大剣姫"フリュースティさま……。あの方が何故……」
ライナが目を見開きながら呟く」
「あ、フュースおばさんデュフ」
ベルが間が抜けたような声を出す。
「な! ベル、お前、フリュースティさまを……」
「ローズの家に行ったときに何度も会ってるデュフ」
--ベルはアル・グローラさまの娘と幼馴染。それなら、アル・グローラさまの親友であるフリュースティさまとも顔見知りだという事までは理解できるが……。このお二人を愛称で呼べる者など、そう多くはないのだぞ……。
ライナはベルの平民には不相応な人脈に驚くのだった。
◇◆◇
フリュースティ。世界各地を放浪し、魔物討伐や紛争に参加する事を生業とする剣姫たちの本拠地である『剣姫の郷』の首領。冒険者学園ヘクトールの卒業生であり、ヘクトール在籍時に現宮廷魔術師長であるアル・グローラとともに『
尤も、『双龍剣』--黄金龍アルハザードの神器『火輪』、邪悪龍ヴァデュグリィの神器『氷輪』--はフィオナという冒険者に譲られたという……。
「ローラ。久しぶりに学園に来たと思ったら、見覚えのある鎧をまとって見慣れた剣を持ったスケルトンと貴女が戦っている……。どういうことか説明してもらっていい?」
「ええ、フュース。その前に戦いを終わらせるのを手伝ってもらっていいかしら?」
No.103レオンとフリュースティの剣の撃ち合いが始まる。
--と、言いたいところだけれど、そうは言っていられないの!
--ローラ! どういうことなの?
アル・グローラは念話でフリュースティに話しかける。
--あのスケルトンは……レオンよ!
--そう、そんな気がしてた。この太刀筋! 私が分からない訳ないじゃない!!
--ごめんなさい。貴女とは戦わせたくなかった……
--…………。これも定めなのかしらね
剣を撃ち合いながらもフリュースティの表情が沈む。心なしかNo.103レオンもまた沈んだように見えた。
ここで双方に隙が生まれたが、フリュースティの方が大きかった。そして、双方の佩刀は片や伝説の武具に比肩する『斬魔神刀』、対するは業物ではあるが材質が鋼鉄であるというだけの二振りの曲刀--
ガキィィィン!
フリュースティの双剣はNo.103レオンの斬魔神刀により撃ち砕かれてしまった。
--くっ……。
フリュースティは距離を取り、No.103の剣を躱しつつ、隙を突こうとする。しかし、一撃、二撃と躱すうちに余裕がなくなっていく。
「フュースよ! これで終わりだ!」
No.103レオンは大きく振りかぶり、上段からの斬り下げをフリュースティに放つ。
「『双龍剣』よ! 大いなる『火輪』よ! 冴え渡る『氷輪』よ! その力を示し、真の
学園長室からグラウンドに到着したフィオナが双龍剣をNo.103レオンに向かって投げる。
『火輪』と『氷輪』は炎と冷気を纏ってNo.103レオンの斬魔神刀を止め、弾き返される。そして、『火輪』はフリュースティの右手に、『氷輪』は左手に収まるのだった……。
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