秘書として

002


***


片山千咲様


先日はお忙しい中、弊社にお越しいただきまして、ありがとうございました。


さて、慎重に選考を重ねました結果、今回については採用を見送りとさせていただくこととなりました。


末筆ながら、片山様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。


***



「はぁー」


パタンとノートパソコンを閉じる。


もう何度目のお祈りメールだろう。

何社受けたかなんて数えるのも飽きた。


この会社だって、こんなに丁寧なメールをしてくるくせに、面接では酷いものだった。


『うーん、君ねぇ、うちの会社で何ができるのかなぁ?これといって資格も持ってないみたいだし。秘書検定二級ねぇ。うちでは使えないよねぇ』


それに対してどう答えたか、覚えていない。


そんな風に批判するならば、書類選考の時点で落としてくれればよかったのに。なぜ面接に来いと言ったのか、そっちの方を聞きたいものだ。


「はぁー」


私は何度目かもわからないため息をついて机に突っ伏す。


これでもう選考中の会社はなくなってしまった。

働くためにはまた求人情報を吟味して、エントリーをしなくてはいけない。


正直、まいってる。


就職が決まってないのは私だけなんじゃないかな。ていうか、就職できる気がしない。

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