巻き込まれ転生したら、黒幕に拾われた件について。
@Himmel-kanato
第1話 巻き込まれました。
“いつも通り”な日常。
いつものように、朝早く起きて出勤する。
いつものように、無慈悲に怒られながらも仕事をこなす。
いつものように、夜遅くに帰宅しようとしていた。
疲れていたのだろうか。
もう、限界だったのだろうか。
家のすぐ側で、立ち眩みと共に意識を手放して倒れていた。
深い闇。
何も映さない。
何も写さない。
ふと、目を覚ますと同時に冷たい土とザラついた砂利のような感触に手元を見つめる。
(あれ、アスファルトじゃない?確か、道で倒れて……?)
少しだけ身体が傷んだが、どうにか立ち上がり壁に手をついて顔を上げて周りを見渡してみた。
どうやら、崩壊した街のようだが誰一人としていないようではなく疎らに人を見かける。
(え、私って死んだ?いや、ありえるかぁー……過労死してそうだし?え、じゃあ……此処は異世界って事になる?あのラノベとか漫画とかにある“転生モノ”??)
足下に落ちていた欠けた手鏡を見つけて拾って自分の姿を確認すると、金色な髪色の少しハネっ毛のあるセミロングで横髪が少し長めにさせて青い紐で束ねていて、青緑色の少しツリ目にパッチリとさせた瞳をしており、少し軽装な冒険者の服装をして腰には腰用の鞄と折り畳み式の杖を身につけている少女の姿をしていた。
(やっぱり、転生?)
『あー、聴こえているかい~?』
「え?」
突如として目の前に、小さな光の球体に光の羽根が生えた物体が顕れては周りを浮遊していた。
『あ、聴こえているね?良かった、良かった』
「えっと?」
『あぁ、私は“カミサマ”なんだけどね?ちょっと色々とあってキミを此処へと、転生させた張本人って所かな?』
「え、“カミサマ”??」
“カミサマ”と名乗った光の球体は、少女の目の前へとやって来てはユラユラと動く。
『そう、“カミサマ”!それでね?キミに謝らないといけないのと、お詫びの特典や加護とかを付与しに来たんだ!』
「お詫びって……」
『それについても、ちゃんと教えないといけないね』
どうやら目の前にいる“カミサマ”は、元々は別の“セカイのカミサマ”だったらしいのだが、“この世界”の“女神サマ”が“カミサマ”の妹さんらしいんだが“ヘマをした”らしい。
本来、あちらの世界から“救世主”となる者を“転生”させるだけの仕事だった。
だが、どうやら何かしらの不手際があったようで“巻き込まれて死んだ”らしい。
そこで、“カミサマ”が“女神サマ”が泣きついてきたから此方へと“転生”させたようだ。
『本当に、申し訳ない!本当なら、アイツに直接謝らせないといけないのは分かってる!でも、今は“動けない”状態で此方へとコンタクト出来なくてね……』
「まぁ、お詫びがあるなら別に……気にしたりしませんけど」
『そうかいっ?じゃあ、まずは加護についてだね!色んな加護があるんだけど、その書物から5つ選んでくれるかい??』
そう“カミサマ”が言うと豪華な装飾の本が少女の手のひらに顕れて、勝手に開いて沢山の加護が記されていた。
『其処に書いてある加護以外に、私からの加護も自動的に付与してあるから』
「え?」
『ステータスって、念じれば出てくるよ』
少女は“カミサマ”に言われて心の中で“ステータス”と呟けば、目の前に半透明な板のようなモノが出てきて“ステータス”と書かれていた。
(名前は、“ジャンヌ”……?なんか、とある救国の聖女サマを思い出すんだけど)
“ステータス”を詳しく眺めていると、平均的な数字なのに“信仰心MAX”になっていたり“魔力MAX”だったりと極端な数字となっいた。
その下には、“カミサマの加護”と書かれていて効能については何も書かれていなかった。
「あの、効能とかは?」
『それについては、何かしらの危険とかを回避出来るように“カミサマ”からの“啓示”が聴けるって所だね!』
(なんか、それって本当に“ジャンヌ”そのものじゃ?)
“ステータス”を確認したジャンヌは、手渡された豪華な装飾の本へと視線を戻しては加護のリストを確認する事にした。
(とりあえず、【言語の加護】かな?これがあれば、相手とのコミュニケーションとれるし……)
『名案だね!キミは、賢明な判断をしてる』
「ほら、よくあるラノベとかでは簡単に話せたりするけど……実際は、そんなに簡単にはいかないと思うんだよね」
『うんうん』
ジャンヌの肩に止まる光の球体を見てから、ジャンヌは他の加護についても考えていた。
(体術とかは無理そう……)
(魔力がMAXなら、魔法とか使えるようにしておくべき?信仰心があるなら、光の魔法とか回復とかま良さそう)
(そうなると、【光の加護】が適任?あとは、三つなんどけど……【精霊の加護】と【知識の加護】それと【防御の加護】かな?)
ジャンヌが選び終えると同時に、豪華な装飾の本が閉じて光の球体の方へと行き消え去る。
『じゃあ、特典について!これは、加護に合わせたモノと私が良いと思うモノを付与させてもらうよ』
「あ、はい?」
『光の魔法関係に回復それらが扱えるようにもなったし、精霊からの手助けとかも得られるようにもなっているよ!それと、“錬金術”も扱えるようにもしておくね?んで、常に“防御壁”がキミの危険に合わせて発動するようにもなっているけど、キミの意思なら解除も発動も出来るようにしてある』
光の球体がジャンヌの周りをグルっと回ると、ジャンヌへと光の粒子が降り注いではジャンヌの中へと入り消えていく。
『さて、私からの初めての“啓示”をキミに捧げよう』
「あ、“啓示”?」
『これから、キミは“運命の彼”と出会う』
「へ?」
『この“セカイ”を憎み、この“セカイ”を壊そうとする“彼”』
光の球体がユラユラと動くとジャンヌの後ろへと消えると、ジャンヌの目の前には濃いめのモスグリーンのフード付きでベルトだらけのジャケットを着て腹を出しており、口許を隠すかのようなガスマスクをしている青年が立っていて足下の側には青と緑色のオッドアイのクロネコが居た。
「なーに、迷子ちゃんか?」
「え?」
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