おっさん、探訪開幕


 「ハイよ。サービスだよ。」


 何か小皿をくれた。そこには、変な虫のようなものと職種のようなものが和えられていた。


 「な、何ですかこれは!?」


 「コオロギとタコのバター炒めだ。これをビールでやるのが冒険者ってもんだよ。」


 そして、それを食べ、ビールを飲む。あぁ。上手い。コオロギの香ばしさ、タコのうま味に染み込むバター、全てがマッチして、ビールの味を引き立てる。

 おっと、これじゃあグルメ番組みたいになっている。だが、本当に上手い。


 雰囲気、食べ物、酒、そして何気ない会話。異世界飲みも悪くないな。


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 「じゃあな!頑張れよ!」


 俺は、店を出た。奢ってもらったおかげで、銀貨は消費せずにすんだ。さて、これからどうするか。


 だが、さっき大男や店主と話していて、有力な情報を得た。冒険者の収入の収入についてである。冒険者の収入は、主に3つ。


 1つ目がパーティーの雇用。


 これは、強い人程稼げる。俺みたいな弱い奴は買ってもくれないから、今の俺には不向きだな。


 2つ目が素材採集。


 外で得たものを売って稼ぐと言うもの。さっきの調子の良い大男は、たまたまとある洞窟で見つけた宝箱に、金銀財宝が入ってたらしく、そのおかげでのんびりニート生活をしているらしい。

 まぁ、金銀財宝じゃなくても、魔物の骨とか毛皮とか、ましてや貝殻とかでも良い。全てが売れるわけじゃないが、以外と売れるものは落ちているとのこと。


 3つ目が討伐報酬。


 町や国から指定されている魔物を討伐してそれを持っていけば報酬が支払われるとのこと。ランドドラゴンもそのひとつであるとのことだ。


 まぁ、一応冒険者も稼げるらしい。それは良かった。生活していく上で必要不可欠だ。


 少しずつ分かってきた異世界生活。多分、これは紛れもなく「転生」と言うヤツだ。


 だったら、もう道はひとつ。エンジョイするしかない。


 魔物と戦う!とか、魔王を滅ぼす!とか、財宝を見つける!とか、色々あるだろうけど、俺はおっさん、そんな気力は無い。


 具体的な目標は立てないで、のんびり異世界スローライフを楽しもう。


 下手に頑張ったりはしなくていい。むしろ、頑張らないで流れに任せて、異世界で過ごしていこう。


 異世界おっさん探訪物語、もう転生して数時間はたったが、これにて開幕といこうか。


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