ボッチ・オブ・ザ・デッド ~終末の狂騒曲~

骨肉パワー

一章 大川

第1話

 ある日、世界中に未知のウィルスが蔓延した。そのウィルスに感染すると、個人差はあるが、数日以内に死んでしまう。致死率がほぼ100%という時点で世界中で大問題になった。


 そして感染者は死後、突然復活した。知性のないゾンビとしてだ。ゾンビは人間を襲い、次々と捕食した。感染者に傷を負わされたり、噛まれたりした者もゾンビになった。


 この情報に世界中は震撼した。島国である日本はかなりの大混乱になった。人が次々と感染し、ゾンビが大量に増える。人口が多い都市ほど地獄のような状況になった。そして殺人事件の急激な増加。強盗事件などが多発。治安は急激に悪化した。


 街中ではゾンビの大群がうろついている。正体不明の化け物などの目撃事例なども多数報告された。今現在もその混乱は続いている。


___とある記者のメモ。



「......うん?」


 ザワザワとした声に反応して、俺は微睡から目を覚ました。今は確か、大学の講義の最中だったはずだよな?前方を確認すると、教授が気ダル気に講義を続けていた。

今は... そうだ!4限の講義中だ。いつの間に寝てしまったんだろうか?


 巨大な黒板を背に、講師がひたすらと専門的な話をする。そんな講義の真っ最中だ。大ホールなので学生の数は非常に多い。マジメに聞いているやつもいれば、俺のように寝ている人間もいる。正直な話、かなり退屈だ。だが単位のためには仕方がない。俺は必死に眠気に抗った。


 30分程時間が経過した。このまま何事も無く講義が終わる。そう俺は思っていた。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」


「...何だ?」


 入り口付近で誰かが揉めているようだ。それにしても様子がおかしい。何というか、異常な程青白い顔をした男が、学生にのしかかっているのだ。襲われれている男も酷い怪我だ。骨のような白い部分まで見えてしまっている。


「ひぎえええあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


 グチャ!とした、嫌な音がホールに響き渡った。青白い男が、まるで猛獣のように学生に喰らいついている。


「...おいおい」


 なんだこれ...。これじゃまるで、捕食じゃないか...。


 大ホールの中が騒がしくなってきた。外からいっせいに学生が次々と逃げて来ている。流血している生徒の姿、パニック状態の講師なども確認できた。


「...何だってんだ?」


 段々と怒鳴り声や生徒同士の騒ぎも大きくなってきた。ふと、視線を入り口付近に向けた。


 ___扉の向こうは、地獄のような光景になっていた。


 ___人間が、人間に喰われている。


「...ヤバい」


 異常過ぎる光景に絶句してしまう。早くこの場所から脱出しなければ、今度は俺が喰われる番だ。


「...っ!!」


 俺は荷物を大急ぎでまとめ、裏口を目指し走り出した。この大ホールには裏口がある。人が密集する前に脱出しなければいけない!

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