第13話 クレア・レガード

何時になっただろうか。

深夜遅くに帰ってきた…

部屋に着いてから軽く軽食を済ませ、

それから父上の部屋に呼ばれた…




「色々あったが、二人ともご苦労だった…

 これでようやくスキルを得たな…」




父上から俺達を労う言葉が出てくる。

スキル鑑定で人生が決まると言っても過言では無い。

それまでに手を抜き甘く生きていると無能力者になる事も多いと言う。

レガード家は儀式を終えるまで厳しく育てていると聞いた。



聞かされていなかった事実に驚く。

そうなると父も祖父もずっと前から、

同じように厳しく躾けられてきたのだろう。





「スキルを得た時点で成人と思って接する。

 特にクリスはまだ良スキルが分からない。

 そのため鍛錬を怠るなよ…」



アリスはともかく俺はこれからが大切だ…

父の言葉を重く受け入れていく…




「さて、半年後からは二人とも

 魔法学園に通ってもらう」



「ア、アリスもですか?」



「そうだ、アリスに宿る雷の魔法も、

 訓練して見極める必要がある」




基本属性は火、水の二種類である。

基本属性以外ではエルフ族の固有属性の風、

ドワーフ族の固有属性の土と存在する。

それ以外も存在するがとても珍しい。

特に雷属性は希少なのだ。




「良かった、私もお兄様と、

 同じ学園に通えるのですね?」




心から安堵した様子だ…

ほっと安心したのか、ため息も出ていた。




「もう一緒に学園にいけないのかと

 思っておりました…」



「アリス…」



俺も妹と通える事に嬉しさを感じる。




「お前たちには言っていなかったな…

 死んだ母さんのことを…」



父上がおもむろに母上のことを口に出す。

そういえば母上の事をあまり聞いたことがない…



「クレアは宮廷魔術師だった…

 そして序列一位。つまり最強にして、

 伝説の魔術師それがクレアだ」



「父上……

 それは本当なのですね…」



「クレアは高位の魔法を、

 詠唱しただけでなく、

 魔力量も桁外れだった…」



「母上がそんなに凄い方だったなんて…」



「二人ともクレアの才能を、

 引き継いでいる可能性がある…」



確かに母上ほどの才能の子供であれば、

魔法の才を受け継ぐ可能性は十分にある。



「これより二人の魔法学園進学を認める。

 二人とも心して勉学に励みなさい」



「はい!父上…

 精一杯頑張ります!」



「わ、私も頑張ります!」



二人で決意をする…

半年後の学園はまたアリスと共に通える。

普通のことかもしれないが、心から嬉しい…



「二人とも夜は遅いのだ。

 今日はゆっくり休みなさい」



父の言葉により、俺たちは自分の部屋に帰っていく…




そして自室に戻るとリーナがいた…

父上の部屋から帰るのを待っていたのだ。

恐らく今は深夜の2時くらいだ。



「クリス様、お疲れ様でした…」



「ああ、リーナも夜遅くまでありがとう!」



リーナは本当にこの数日間、

俺たち兄妹のために良くしてくれた…



「クリス様、こちらは儀式のお祝いです。

 スキル鑑定、おめでとうございます」



急なプレゼントにビックリする!

今日に至るまでに用意していたのだろうか。

綺麗な包みに包装されている。



「あ、開けてみても良い?」



「どうぞ!ぜひ開けてください!」



リーナがそう言うので遠慮なく開けてみる…

そして中からは銀色の腕輪が出てきたのだ…



「これは、鑑定の腕輪です」



自分の力を鑑定してステータスなどを確認するものだ。

恐らく訓練をずっと続けていく俺のために、

事前に用意してきてくれたのだろう。



「これはとても高価だろう?

 良いのか、俺にプレゼントしてくれて…」



本当に高いのだ…

リーナの給金を考えると数ヶ月間お金を貯めなければ、買う事はできない。



「実は私1人からではなくて、

 使用人全員で持ち合って用意したのです。

 アリス様にもプレゼントしておりますよ」



アリスもなのか…

余計に申し訳無いが逆に凄く慕ってくれていると思うと途端に嬉しくなってくる…



「儀式のために本当に努力されていて、

 使用人にも優しく接するお二人ですから」



皆んなからの想いを受け取る。

使用人全員も家族なのだ…

俺は幸せ者だ…

こんなにも優しい人に囲まれている…



「リーナ、ありがとう!

 とても嬉しいよ…

 大切に使わせてもらう」



心からお礼を伝えたい…

これから頑張ろう…

レガード家の名に恥じないように…



そしてリーナに手伝ってもらいながら、

着替えを終えて布団に入る。



「おやすみ、リーナ…」



ここ数日間の疲れが溜まっていたのだろう。

すぐに眠りについてしまった。

そんなクリスの疲れを労うかのように

リーナは優しく見つめているのであった…

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