三, タイイクサイ
第1話 進学
一
気がつけば学年は一つ上に上がり、季節は秋を迎えていた。そして三年生は卒業式を行い、自分たちは高二へとなっていたのだ。
ついこの間、年をあけたばかりだと思っていたのに、春と夏はいつの間にかすぎていた。まあ、新学期はあっという間に過ぎていくなんて当たり前のことなのだろうけども、夏は補習やら、模試やら、何かと勉強の面で追われるものが多く、充実したと聞かれれば確かに充実していたであろう日々を送っていた。
夏休みが明けて仕舞えば、南高校では年に一回の大行事『体育祭』が待ち受けている。全校生徒でえげつないほどの人数がいる南高校の体育祭は町全体を巻き込んだ大イベントである。それが故に、優勝したクラスに贈られる景品もすごいと聞いている。
去年思う存分に楽しめなかった天人達は今年の体育祭を、待ち望んでいた。
「……にしても………」
体を存分に伸ばして入念にストレッチをする天人は、校庭にいた。無論、天人は部活動に所属していない。しかし今はいつもの学生制服ではなく、体育の際に着こなすジャージを着ていた。天人と同じように縁を囲んでストレッチをする群れの中、チラリと優一郎のことを一瞥する。ふと目が合うと、にっこりと気持ち悪いほど良い笑顔で微笑み返された。天人は慌ててそらす。
「……なんで、こんなことになってんだか………」
遡ること数時間前―――――。
「なんですかっ!この“授業別対抗競技”ってッ‼︎」
今朝配られた紙を持って、陰陽道の準備室に駆け込む。天人が駆け込むと、すでにそこには陰陽道の授業を取っている五人がいた。卒業した三年生が一人減ったので七人体制のクラスで、籍を置いているが当然ハルは一回も出席していない。つまり、今は舞子と佰乃、それに天人が名前を知っているのは小野内優一郎だ。彼は過去に天人達を殺そうと襲ってきた。しかしどう言うことかそれ以来接点はない。そんな学年も性別もバラバラな八人が陰陽道の準備室に同じタイミングで訪れるということは、目的は皆同じなのだろう。
「こんな競技、去年はなかったでしょう⁈それに、なんで俺は組分けで“陰陽道”チームになってるんですか?」
「ほらほらぁー。私の言った通りだろう?皆ここに集まるって」
征爾は呑気に計量カップの掃除をしている。妙に白衣が似合うのがまた腹立たしい。
「まあまあ、今から説明するから落ち着いてよ、みんな」
「その“みんな”の一言でまとめようとするのやめてくれませんか、征爾さん」
腕を組んだまま背中を壁に預けている優一郎はにこやかに笑顔を向ける。
「そ、そーですよー!僕たちは、ここに集まったけど皆バラバラできたんです!そもそも僕たちは馴れ合うような仲でもない!」と比較的小柄で、前髪が目にかかって表情がうまく視えない男子生徒が言った。彼は天人達よりも一つ上の学年だ。つまり優一郎と同い年ということになる。
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