追放された伯爵令嬢は、青い蛇に導かれる

酒ともやし

追放されました


第一私は教会を箒で掃除しながら少し前のことを思い出す。


私の名前はレミシーヌ・マークリー

元伯爵令嬢です。


より親であるテキトー侯爵家の命令で教会の聖女様をやっていました。

断ってしまうと私の親に迷惑がかかるので仕方なく。

今思えば、断っておけばよかったと思います。





一年前の王城にて。

「聖女レミシーヌ、いや偽聖女レミシーヌよ。

先日、本物の聖女様が異世界から召喚された!

しかし世界に1人しかいないはずの聖女が2人もいるのはおかしい、どちらかが偽物ということになる。

だがすぐに判明した、召喚された彼女の力は貴様の何倍もの力を持っていることがわかった!

つまり貴様が偽物ということだ!」

聖女の制服を着た私は腕を後ろにし、縄で縛られ土下座するような姿勢で王太子の言葉を聞いている。


「貴様のより親であるテキトー侯爵家は虚偽の報告をしたことで処刑になる。

もちろん貴様の親もだ」

親が処刑されることを聞いて目を思いきり開いた。


「しかし微弱とはいえ民達を癒したのも事実。貴様の処刑は勘弁してやろう。

だが無罪とはいかない!

レミシーヌ、

貴様を平民とし国外追放とする」

私の判決が下る。


この後家族や屋敷で働いている使用人にも会えず、着の身着のまま馬車に乗せられ国外に追放された。


放心状態の私は降ろされた場所からしばらく動けず、

頭が状況を理解すると、私は膝を地面につき両手を顔に当てて泣きじゃくった。


しばらくそうしてると、頬に流れる涙を何かに拭われた。

手の間から見てみると、青い鱗をした少し大きめの蛇が私を見ている。


「私を食べに来たんですか?」

普段の私なら悲鳴をあげて後ろに後ずさったと思う、でもどうでもよくなった私は素直に思ったことを言った。


蛇は頭を左右に振り私がいる場所から離れていくと、すぐ止まり顔をこちらに向け私を見てきた。


「ついてこいってことですか?」

正常な判断ができない私は蛇に話しかけた。

蛇は頷いて少しまた進んで、また止まり顔をこちらに向け私を見た。


特にいくあてもないので、蛇に私はついていった。

そうすると小さな村に着いた。


「嬢ちゃん見ない顔だな?

お父さんとお母さんはどうしたんだ?

それに服もいいもの着てんな、もしかして貴族様ですか?」

村の入り口にいた門番さんに聞かれた。


「いえ貴族ではありません。

教会でシスターをやっておりました。


現在住む場所をさがしています、この村に住まわせていただけませんか?」

もう貴族ではないし、聖女でもないのでそう答えた。


「シスターってことは回復魔法使えるのか!

ちょうどいい!

今この村の教会に誰もいないんだよ!

ぜひ住んでくれ!

よし!村長のとこに行くぞ!」

「ちょっ」

門番さんに腕を引っ張られながら早足で歩く。


そしてここに来る途中に見た家より、ひとまわり大きい家の前に着いた。

「村長!いるか!」

そう言って門番さんは玄関何回か叩きながら叫んだ。


「たく、そんなに大きな声で叫ばんでも聞こえるし玄関も叩くな。

それで、ラクスなんのようじゃ?

ん?初めてみるお嬢さんがおるの」

耳を触り文句を言いながらお爺さんが玄関から出てきて、私を見た。


「村長!なんとシスターがこの村に住まわせて欲しいそうだ!

いいだろ!」

「シスターがこの村に?

とりあえずお嬢ちゃんに話を聞くからラクスは門番にもどりな。

お嬢ちゃん家に入りな」

「村長絶対住まわせろよ!

んじゃ嬢ちゃん俺は戻るわ」

ラクスさんという門番さんは来た道に戻っていった。

私は村長さんの家に入って、案内された部屋に入り向かい合うように座った。


「お嬢ちゃん訳ありじゃな?」

その言葉に冷や汗が出た。


「顔を見れば分かるし、そもそもこの村に来るシスターなんて前にいた変わり者のぐらいしか来ないんじゃよ。


正直問題を抱えてるものを村に入れるのは気がすすまんのじゃ。

わるいが住まわす」

私の移住を断ろうとした村長は、部屋の入り口から入ってきたおばあさんに飛び蹴りされ吹っ飛んでいった。


「あなたバカなんですか?

この村から追い出してこの子がどんな目に遭うかわからないんですか?

そもそもこんな秘境の村にいる連中なんて何かしら問題を抱えてるに決まってるでしょ!

私達だって駆け落ちしてこの村に迎えてもらったんでしょ!」

おばあさんは村長の胸ぐらを掴み揺らしながら怒鳴った。


「ば、ばあさん」

「ば、ばあさんじゃありません!

私はこの子の移住を認めます!

いいですね?」

「は、はい、認めます」

おばあさんはそれを聞くと村長を投げるように離し、私の前に来た。


「お嬢さんごめんなさいね。

うちのバカがご迷惑かけて、

私の名前はカルミーナ。

貴方の移住を歓迎するわ、今日は疲れたでしょうこの家に泊まるといいわ」

優しい笑顔で迎えてくれるカルミーナさんを見て嬉しくなり、両手を顔に当て号泣し、そんな私をカルミーナさんは優しく抱きしめてくれた。



次の日村にある教会に案内され、村のみんなが教会の掃除を手伝ってくれた。

住まわせてくれた恩に報いるため、教会に来てくれる村の人達に真摯に向き合った。





一年たった今、村のみんなは私が来てから作っている野菜や水が旨くなったと騒いでる、それに森で魔物を見る数が減ったと言っていた。

きっと気のせいだと思う。

でも、私が教えた料理のお陰で村のご飯が格段に美味しくなったのは本当の話。



「あら、きっとあの時の蛇さんですね!」

教会に現れた青い蛇を見つけた。

蛇さんは肯定するように頷いた。


「蛇さんがこの村に案内してくれたおかげで、この村に住まわせていただくことができました。

本当にありがとうございました」

蛇さんにお辞儀をした。

蛇は気にするなと言うように首を左右に振った。


「とても感謝しています!

そういえば、

蛇さんって言うのも変な気がしますので

名前をつけてもいいですか?


では、みずちというのはどうでしょうか?

前にいた世界では水神とまで言われた名前なんですよ!」

名前をつけていいかと聞いた蛇さんは頷いたので、青い鱗を見て昔見たアニメの蛇を思い出しそう名付けてみた。

そうしたら蛇さんもとい蛟さんの体が光りだし、少したったあと収まった。

みずちさんは体が小さくなり私の体をつたって右腕に絡みついた。


「そうですか。

そこにいたいのですね。

大丈夫ですよ、そんなに重くないですし気にしないでください」

名前をつけて光ったからおそらくテイムだと思いましたので、蛟から声が聞こえても動じずに会話をした。


「さて、今日もはりきって教会の仕事をしますか!」


そうです私は転生者なのです。

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