第335話 仮想の栄華⑧
〜クリスティーナ城〜
「では、今回の勝利を祝しまして! 乾杯!!!」
「「「「乾杯!!」」」」
俺たちは戦争を終えると一度クリスティーナ城へと戻っていた。
何故か兵士や王族から凄く慕われているのだが、気持ち悪いことこの上ない。
「どうですか? 【勇者】高坂様も一杯やりませんか?」
あのクズ王と同じような顔をしている王様に肩を触られるだけで反吐が出る俺は丁重に申し出を断った。
「悪いな、酒は飲めないんでね」
俺がそう呟くとベロンベロンに酔った佐藤が現れる。
「おいおい高坂! ここは日本じゃないんだぜ!? 酒くらい飲んでも問題ないってぇの!」
「佐藤。お前相当飲んだだろ?」
「当たりめーよ! 俺たちは魔王軍との戦闘から街を守る英雄だぜ!? こんくらいの特権はあってもいいだろ! おっ! あそこの嬢ちゃんとかべっぴんさんだぜ!? ちょっと声をかけて来る!」
酒に酔った勢いで城の中にいる顔のいい女性に声をかけている様は佐藤そのものだったので安心する。
(全く、下半身でしか物事を考えられるないのか? あいつは)
石川の奴は王族や貴族連中と何やら未来のことを話しているようだった。
その場にいるのは嫌になった俺がホールから出ようとすると...。
「勇者様! せっかくのパーティですし私とお話ししてくれませんか!?」
「勇者様の武勇伝を聞かせて欲しいです!」
「勇者様って素敵ですよね!? 一体どうやったらそんなに素敵になれるんですか!? 手取り足取り教えて欲しいです!」
「ぐっ...!」
面倒な女共が俺の周りに現れるが全く興味が湧かない。
全員顔も体もレベルは高いが、残念ながら俺の好みではない性格をしていそうだ。
「悪いな他を当たってくれ」
と言う親疎つな俺の言動にすら好意的に反応を示す女共。
「あ〜ん! やっぱり勇者様って格好いいです!」
「クールな感じが堪らないのよねぇ!!!」
「勇者様! 大好きです! 抱いてください!!!!」
1人やばいのが混じっているな...。
まあこういう輩は無視するに限る。
俺は女共を軽く振り切り静かなテラスに出る。
「ふぅ...あんな所にいられるか!」
大体俺はこの国の連中に迫害されてきたんだぞ!? 夢の中でちょっといい事をされたくらいで良い気分になるとでも思っているのか!?
そう、多少優しくされたとしてもこの国の連中が俺におこなってきた今までの冷遇具合を天秤にかけるとどう考えても釣り合わないだろう。
「はぁ...」
俺がため息を吐いていると...。
「あっ! 和希ここにいたんだ!」
と優樹が声をかけてくるのだった。
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