第276話 ケツ100叩き

「今の発言取り消すなよ? お前は俺に100回ケツを叩いてほしいと懇願したな?」


「...言った」


「くくく...、ならばさっさと用意しろ! 言っておくがこれはお前の意思でやってくれと言い出したんだからな? だから俺はお前の意志を尊重して叩いてやるだけだOK?」


「なっ!? それは違...!」


「違わなくないだろう? お前は自分の言葉で叩いてほしいと言ったんだ。それで良いよな?」


「ぬ...うぐぐ!!」


 これこそ俺が味わい続けてきた理不尽そのものだ。


 何をやっても全て【弱体術師】のせいにされる理不尽極まりない世界。


 それを今のいままで祝福され続けてきた奴が俺と同じような理不尽を受けている光景に大いに満足する。


(マジでザマァ!!! これからやっていくお仕置きは一つたりとも絶対に手を抜いてやらないかな! 今からお前は俺の玩具だ! 死ぬまでコキ使ってやるから覚悟しろよ!!!)


 そう心の中でほくそ笑む。


 奴が意を決したように腰を上げると、俺はそこに手加減なく杖を振る上げる!


 バシン! と奴の尻を叩き吸血鬼特有の白い肌がほんのり赤くなったのを見て興奮した。


「痛い!」


 と叫ぶ声が俺の攻撃をさらに加速しさせる!!!


 バシン! バシン! バシン!


「オラっ!! このクソガキが!!! 少しは反省しろ!!!」


「痛い! 痛い! 痛いって!!!」


 痛がる奴を見て俺は叫ぶ。


「違うだろ! お前は今の今まで許されない事をしてきたんだ!!! 今お前がやるべき行為は俺に対して懺悔することなんだよ!!! 早く謝れ!!! その口で大きな声で俺に謝罪しろ!!!!! 佐藤!!!!!」


 思わず奴の本名を叫んでしまう俺。


 それだけ奴への復讐心は高かったのだろう。


 ケツ叩きが50回に及んだ頃に奴はこう声を漏らした。


「...なさい」


「あっ?」


「ごめんなさい!!!」


「誰に謝っている?」


「高坂に...」


 呼び捨てにされたので思わず睨みつけてやると小動物のように怯えて小さくなる勇者。


「高坂様...、いや! 俺のご主人様にです!」


「お前のご主人様なんて死んでも嫌なんだがな! おらっ! それだけか!?」


「ひっ...! 違います!! 転生してきた時に王様に唆されてご主人様を貶すように言われていました!!!」


(あのクズ王...!)


「お前の知っている事を全て話せ!!! あのクズ王と何を話していた!?」


「言います! 全部言いますからぶたないでください!!!」


「それはお前の態度次第だ。 言っておくが俺を貶めるような事をすれば...!」


 バシン! と床を打ち付ける。


「ひっ...!」


 完全に怯え切った目でこちらを見てくるシュガー。


「デバフも使ってもっと痛くするからな?」


「分かりました! 全部言いますから!! あっ! お靴が少し汚れていますね! 舐めてもっと綺麗にします! レロレロレロ...」


 小さな舌を使って俺の靴を舐め始める奴の姿は滑稽だが、今はそんなことよりもあのクズ王が俺に対してどのような事を他の勇者に言っていたのか気になるのだ。


 優樹はもとより俺と友人関係だっただけにあのクズ王も警戒して情報を漏らしていない可能性がある。


 だが目の前のクソ勇者は別だ。


 嬉々として俺を陥れるような奴だからな。


 あのクソ王もベラベラと喋っている事だろう。


 そう考えた俺はシュガーの靴掃除が終わるのを見終えた後に話を聞くのでした。


『EXスキル【調教師】を取得しました。これにより鞭を装備できるようになりました』

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