第263話 吸血鬼と白青鳥と幻獣

 空から額に一本の黄色い角を持った紫と桜色が混じったような長髪を持つ女性が降り立った!


 そしてそいつがこちらを見てくるとまるで時が止まったかのように俺の全身から脂汗が噴き出してくる!


(なんだこいつは!? 確かに強いのは分かるが。それよりも俺はこいつと会ったことがあるような...!)


 そう、長い付き合いではなかったが、確かに出会ったことがある気がする。


 いや、顔や体型を見ても全く思い出せないのだが...。


 美人と言って差し支えない顔に豊満な体...。


 どう見ても見たことがない奴のはずなのに、俺はこいつと出会ったことがあるような気がしてならない。


 そして、その謎は奴らの会話を聞いて更に深まる!


「遅かったですね。


 フワンが語った奴の名前に俺は衝撃が走る!


(アル子だと!? それって俺が最初に仲間にしたアルミラージと同じ名前だ!)


 これは偶然なのか? 確かにアルミラージにアル子と名付けるのは俺だけではないと思う。


 だが、それにしてはやはりこいつの事を懐かしいと感じてしまう俺の感性はおかしいのだった。


「和希?」


 優樹が俺の事を不安そうに見つめている。


「あ...ああ、問題ない」


「大丈夫? なんだか顔色悪いよ?」


「...」


 俺は一度顔を振って奴が俺の育てていたアル子とは違う個体だと思うことにした。


(いや、アル子は死んだじゃないか...。こう言う甘さが戦場では命取りになるんだ)


 俺はそう思うことで冷静さを取り戻し、目の前の敵に集中するのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る