第246話 夏休み②

 俺と優樹が遊び初めて10分後。


「カズ君、遅れてごめんね」


「遅いぞ! ◯◯!」


「そうだよ! こっちはもう楽しんでるだからね!」


 そう言いながら優樹が水鉄砲で◯◯を狙い撃つ!


 ピュッっと水がかかると「やったな〜!」と言いながら手で海水をぶつける。


「ひゃっ! 冷たい!」


「おいおい俺を忘れるなよ!」


 バシャと勢いよく水の中に飛び込んだ俺は海水を浴びる。


「何やってんだよ和希」


 優樹が笑いながら俺の方を見てくるので思わず笑顔になる。


「スキあり!」


「わっ! やったな!!」


 俺の水かけに笑顔を返してくる優樹が水鉄砲で応戦してくるが、どう考えても手で弾いた方が水が飛ぶのだ。


 両手で思いっきり水をかける俺に痺れを切らしたのか、優樹と◯◯は協力して俺に水をかけてきた!


「おい! 2体1はずるいだろ!!」


「こっちは女子2人だからずるくないもんね〜!」


 舌を出して小悪魔ってぽく振る舞う優樹達の優勢に俺はたまらず逃げ出した。


「あっ! 和希が逃げた! 追うよ!」


「うん!」


 2人して俺を追いかけてくる。


 側から見れば完全にリア充だが、俺は戦略的撤退をしているだけなのだった。


 急いで逃げ出して水のあるギリギリまで追い詰められてしまう俺。


「ぐぬぬ...!」


「さあ、追い詰めたよ和希!」


「まだだ! まだ俺には沖合に逃げてぐるっと回ると言う秘技がある!」


 そう言いながら俺は泳いで奴らの後ろに回り込もうとした。


「あっ! 和希! 危ないよ!」


「はんっ! これでも俺はまあまあ泳げるんだよ!」


 俺が調子に乗って沖合の方に逃げていると...。


「ぎゃっ! 足つった!!」


 急に足がつって泳ぎが悪くなる。


 それを見ていた優樹が急いで俺の方に向かってくる!


「和希!!」


 優樹が俺の手を取ってどうにか浮上させようとしていたが、俺の泳ぎが安定しないせいで上手く海面に出られない!


「ガボガボガボ!!」


「和希! 暴れないで!!! ...きゃっ!!」


 俺は手を取ってくれた優樹もろとも海の中に沈んでしまう。


 海水をたっぷりと飲みながら気を失いそうになる中、最後に見た光景は浮き輪を投げながらこちらを見ている◯◯の姿なのでした。

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