第168話 崖下り
私は崖を降りる前にスカートを短く切り裂きました。
あんなに長いスカートは正直言って邪魔なのです。
綺麗な服なのでできれば売り捌きたい所ではありましたが、流石に時間がありません。
金色と銀色のナイフを扱い少しずつ下に降りていく私。
上を見上げられたら1発でバレてしまうのでそこは賭けです。
腕力が持たなかったら即死は免れないと言う恐怖感と戦いながらも器用に降りていく私。
なんとか城壁まで降りるとすぐさま身を隠します。
城壁とは言えそこそこの人数がいました。
(【忍び足】でゆっくり進もう)
できるだけ音を立てないようにする為にここで靴は脱いでおきましょう。
靴下だけの方がよっぽど動きやすいと城壁を降りながら気がついたのでした。
チラチラと辺りの様子を伺い衛兵達の動きを読んで見つからないように牢屋の位置を探していると声が聞こえてきました。
「最近騎士団長様が【弱体術師】を捕らえたそうだな」
「ああ、近々処刑になるらしいぞ」
「あれだけ悪名高い【弱体術師】を我らが騎士団長が倒したと噂になれば我らエトランゼ騎士団の名声も更に高まってしまうな!」
「しかもその騎士団長様は姫様も救出したらしいぞ」
「誠か!? ではなぜその事を公にしないのだ?」
「そうだな。【弱体術師】を処刑なさる時に姫様を救い出した事を宣言されるのではないだろうか?」
「なるほど、それならば納得だ」
2人の衛兵が外に続く階段を登っていくのを聞き終えた私は地下牢の存在を知れた。
(兄ちゃん達は地下牢に捕まっているんだな! よしっ! だったらこの城の下の方を探せば良いんだ)
有益な情報を得た私は地下への道を探索し始めるのでした。
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