第58話 ウルフミラージュ

 俺たちは近隣に最近現れたと言うウルフミラージュの討伐を請け負った。


 ウルフミラージュの推定レベルは35でコロシアムで戦った佐藤よりも上のレベルだ。


 アイテムと装備品をしっかりと備えた俺たちはアミュレーの森へと足を踏み入れた。


 今日は霧が濃く発生しており、視界が悪いのでゆっくり進む。


「今日の相手は手強いからな。2人共警戒を怠らないように」


「はいっ」


「分かってるよ。和希」


 その最中にも採取は怠らない。


 良い感じの薬草があれば積んでその間にも【アイテム合成】を行う。


(時間を無駄にはできないからな)


 そう思っていると一段と霧が濃くなってきた。


「凄い霧だな...。俺から離れるなよ」


 そう言った時だった。


「シュナ? 優樹?」


 2人の返事が返ってこなかった。


「シュナ! 優樹!!!」


 2人とはぐれてしまった俺はつい大声を張り上げてしまう。


 すると...。


 ズシン...、と足音がした。


 恐る恐るそちらの方を見てみると霧の中に大きな虚影が現れてこちらに向かってきていた。


「ウルフミラージュか!?」


 俺はすぐさま身構えて奴に【弱体化デバフ】をかけた。


 すると...。


「和希! 何やってるの!」


 と優樹の声がしたので我に返る。


「はっ!?」


 すると目の間でシュナが倒れていて【感電】と各種弱体化状態になっていた。


「急に私とシュナちゃんの名前を叫んだと思ったらシュナちゃんにデバフをかけるなんて...」


 その言葉を聞いた時に俺は確信した。


「優樹! シュナのデバフ状態を治してくれ! 俺たちは既にウルフミラージュのテリトリー内に足を踏み入れていたんだ!」

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