第18話 残り1週間

「残り1週間か...」


 俺はカレンダーを見ながらそう呟いた。


 文字は読めないが日本とカレンダーの作りが同じなので助かっている。


 思いっきり1週間後の今日に魔王軍との最初の戦争があるとカレンダーのドクロマークが示しているのだ。


(くそっ! もう時間がないって言うのに俺はまだこんな序盤で足止めを喰らってるなんて...!)


 風の噂だと佐藤達は既に3つ先の町で活躍しているらしい。


 俺はたまにカリュート村からもう一つ先の町まで行くのだが、そこでも【弱体術師】は嫌われているようで顔を隠して動いている。


【弱体術師】と言う名称だけが嫌われているらしく、俺の名前をギルドで出してもそこまで問題はないようだ。


 カリュート村にも【弱体術師】が召喚されたと言う事実が届いてきてはいるが、先にギルド登録しておいたおかげでギルドに所属することすらできないと言う最悪の事態だけは防げたのは大きい。


 町にいる時は深くフードを被り、できるだけ顔を見せないように動いている。


 拠点はカリュート村でたまにもう一つ先の町にまで出かけて武装を整えている状況だ。


 取り敢えず木の杖を銅の杖に変えて攻撃力を上げる。


 そして念願の薄い革鎧を購入して防御力を若干上げておいた。


 さらに魔導書を購入し一応魔法の勉強もしたいところだが...。


「やっぱり読めない...」


 読めないから魔導書を購入してもあまり意味がないので購入しない。


 と言うか魔導書が一冊5万とかするので買えない。


 仕方がないのでアルファベットのような文字が書かれている紙切れを買って文字列の勉強をする事にした。


「異世界にきてまで文字の勉強って...」


 そう思いながらも強くなるためなので仕方がない。


 実際の所魔導書が読めるようになれば全部のステータスが向上する事はメニューにあるヘルプを読んで分かっているので時間をかけてでも文字を覚える必要はありそうだ。


 しかも場合によっては新たな魔法やEXスキルも入手できるそうなので遠回りに見えるがこれも立派なレベル上げだろう。


 EXスキルの有用性は痛いほど実感しているので絶対に損はしないはずだ。


 そう自分に言い聞かせて文字を覚えていくのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る