「大きくなったらえっちなことでもなんでもしてあげる!」と小さい頃、言ってくれた幼なじみのお姉ちゃんを手のひらの上で転がしたい。

伊良(いら)

第1話

彼の名前は夏目翔。田舎の学校に生まれた世間を知らない男の子。彼は泣き虫だった。というか弱虫という方が正しいかもしれない。


こんな田舎にも公園はあって、そこで小学生くらいの3人組がいた。一人はしゃがみこんで泣いてしまっている。それを見て、笑う男の子二人。


「やーい!泣いてるぞ!こいつ!」

「さすが、弱虫だな!」


そう言って持っていた虫取り網で、弱虫こと、翔のことを叩く。翔は反抗せず、その時間を過ぎ去ることをただ耐えているようだった。


「こらー!私のしょうをいじめるなー!」


そんな声が公園に響く。それは女の子の声。半ズボンで麦わら帽子を被ったショートカットの女の子。


「やっば。鬼ババアだ」

「鬼が来たぞー!」


そんなことを言って、男の子たちは逃げ出す。そして女の子は翔の元に駆け寄ってしゃがみこんで心配の声をかける。


「大丈夫、しょう?あいつら·····絶対に許さないから!あと私の事ババアとか言ってたし!」

「さわちゃぁぁあーん!」


そう言って、翔はさわちゃんと呼ばれる女の子に抱きついた。少し驚いた顔をしてから、さわちゃんはぎゅっと抱きしめてあげる。


「よく頑張ってたね、しょう。痛かったでしょ?」

「いたかったぁあよぉおお」

「もー、泣かないの。ほら!お姉ちゃん、アイス買ってきたんだ。一緒に食べよ?」

「食べる!」

「ほら、半分こだよ」


そう言って、さわちゃんはアイスをパキッと半分に割る。そしてそれを翔に渡すとニコッと笑った。


「しょうも戦わなきゃだよ。あんな奴らボコボコにしちゃえ!」

「·····や、やだよ。怖いし」


翔は怯えながら、アイスをぱくりと頬張る。そんな姿を見て、さわちゃんは両手を広げてぶんぶんと否定する。


「やっぱ今のなし。しょうは優しいまんまでいてね。今のしょう、私好きだし」

「僕のこと好き?」

「好きだよー!」

「僕も!僕も!」


そんな会話をしながら、過ごしたのは翔が小学三年生くらいのことだった。さわちゃんは小学五年生のとき。


これから色々とあったのだが、彼らの田舎での青春は終わりを告げるのだった。


♣♣

「·····私、明日この島を出ていくんだね·····」


そう言って、涙を流す沙和ちゃん。年齢は中学三年生になり、島外の学校を受験しここか、出ていってしまうのだった。


「翔とあえないの寂しくなるなー!」


そんなことを波の音にかき消されないように、大声で叫ぶ沙和ちゃん。風でひらりと揺らぐスカートを抑えながらこっちに振り向いた。


相変わらずの麦わら帽子の沙和ちゃんに、俺は告白する。


「大好きだ!沙和ちゃん!俺はずっと君が大好きだ!」


俺は精一杯の声で言う。青春してるなぁって思う。でもそれ以上に目の前からいなくなってしまう初恋の人に想いを伝えたかったのだ。


俺の告白を聞いた沙和ちゃんは頬に綺麗な水を垂らして、泣きながら。そして誰よりも綺麗な顔で笑うのだった。


「大きくなったら、えっちなことでも何でもしてあげよう!だから私の事、忘れないでね。ずっと大好きだから」


そんなことを言って、彼女はこの島から消えた。でもこの言葉は俺の胸に残り続けていた。


だから俺は次に会ったら、絶対に言う言葉を決めていたのだった。


『エッチさせてください。沙和ちゃんと』


♣♣

純愛と見せかけて主人公を狂わせていく高等テクニック!

伸びなかったら辞めます!星ください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る