第27話 ポセイドン

「テメェ!!! みんなを何処へやった!!!?」


 俺はポセイドンを問い詰めた!!

すると、ポセイドンは馬鹿にするように大笑いした。


「ぎゃはははは!!! 何処って、死んだに決まってんだろ!!」


「お前、死体を探してんのか!!?」


 そんな馬鹿な!!? 趣味の悪い冗談言ってんじゃねぇぞ!!


「お前のお仲間の死体はここにあるぜぇ」


 ポセイドンは笑いながら指をさす。

その先には、ぐったりと血を流して倒れているマインとライムがいた。


「……!!」


「テメェ!!! よくも!!!」


 俺はポセイドンに突っかかるが、逆に蹴り飛ばされてしまう。


「人間の分際でモンスターに勝てもしねぇのに喧嘩を売るから悪いんだぜ。黙って俺らの飯になってりゃいいのによぉ。」


「人間って雑魚だよなぁ。俺らに勝つために魔法を生み出した癖に、アイツらは一度も俺の首を取れていない。所詮は貧弱生物だ。」


 ポセイドンは続ける。


「俺はなぁ、船を襲う時、全ての人間を食べる訳じゃねぇんだ」


「一部だけ食べて、後はじっくり苦しませながらじわじわと殺すんだよ。ここにあった残骸は全部俺がやったもんだ」


「だってここちいいだろ!!! ムカつく奴らの恐怖におののく姿と、その時に響いてくる断末魔はよぉ!!! マジで、たまんねぇぜ!!! ぎゃははははははは!!!」


 俺は戦慄した。

コイツ、異常者だ。

頭狂ってんじゃねぇのか!!? 本物のサイコパスじゃねぇか!! 


「なのになんでテメェは人間に従ってるんだぁ!!? ああ!!?」


「人間が怖えのか!!? 日和ってんのか!!? 小心な野郎だな!!」


 ポセイドンは煽りながら、こんな提案をしてきやがった!!


「そうだぁ!! お前は俺の下僕にしてやろう!!」


「それならお前だけは殺さずに済ましてやる!! 俺達仲間だろう!!? 一生こき使ってやるけど!? ぎゃはははは!!!」


「人間に従うモンスターとか、クソなんだよ。今すぐ人間を見限って俺に従うか、それとも俺に殺されるか、どちらかだ!!」


 絶対絶命の状況だった。

どうすればいいんだ? このままコイツに従わなければ、俺は死ぬのか?


「あなたは、わたし達の仲間だよ!!!」


 すると、ポセイドンの後ろから、死んだはずのマインが、電気の剣で斬撃を加える!!!


「死んで無かったのか!!? この女!!! さっきの攻撃で殺したはずだろうが!!!」


 マイン!!! 生きてたのか!!!?

しかし、うつ伏せだったから分からなかったが、マインはさっきの斬撃で、左目を引き裂かれて視力を失っていた。


「マイン!!! 左目が!!!」


 俺がマインを心配していたが、マインは笑顔だった。


「あなたを失うくらいなら、こんなもの小さな怪我だよ!!!」


「雄心!! わたしはあなたの仲間として……いや、母親として、こんどこそあなたを守る!!!」


 マインはそう叫ぶと、俺の方を笑顔で振り向いた。


「テメェら、何ベラベラと訳分かんねぇ事喋ってんだよ!!! ふざけてんのか!!!」


 激昂したポセイドンが話に割り込んでくる!!


「お喋りはこれくらいだね」


 マインはそう言うと、ポセイドンと対峙した。


「さぁ、形勢逆転だよ!!! 行くよ!!! 雄心!!!」


「了解!!! 母さん!!!」


 そして、俺達の最後の戦いが始まった!! まず、マインが『ブースト』でポセイドンに突っ込んだ。


「絶対に守る!! もう大切なわが子を死なせない!!!」


 マインはそう声を張って呟くと、薄茶色の髪が光沢のある金髪へと変化し、目の色もさらにきれいになった。


「マイン!!!? どうしたんだ!!!?」


 マインの動きは今までとは比べ物にならない速度だった。


「魔力の覚醒だと!!!? この状況でか!!? ふざけんなぁぁぁ!!!」


 ポセイドンが激昂して、俺が初めて聞く言葉を口にした。

魔力の覚醒!!? これがそうなのか!!?

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