三十八頁目
泣くことができない
肝心なときに
内臓がかたまって
動かない指先で
頬に触れるだけ
それはとても
冷たくて
白い
⌘
残酷な言葉を綴る勇気が
わたしにはまだない
⌘
あふれてゆけ
こぼれてゆけ
とまることなく
さえぎるものもなく
あるいてゆけ
こわしてゆけ
それでそこまでなら
それでいいじゃない
あるいてゆけたのなら
それでいいじゃない
⌘
寒いときの音が聴こえる
それはきっとここに
つらい熱があるからだ
⌘
何もわからないまま
ふわふわあたたかい場所
何も知らないまま
ゆらゆらあたたかい場所
わたしはそこで
ずっと待ってる
まだ知らない夜のこと
まだ知らない夢のこと
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