第75話 さらなる高み
あれから二日の間、ひたすらに周回を重ねた。水竜のレベルは5000。そして、コンと大牙のレベルも5000となっており、今は神聖魔法のレベルアップをしている所だ。
ザンッ!
大牙のホーリーソードが水竜を切り裂くと、その体に秘めた魔力があがる。
「お? レベルアップだね。これで幾つになった?」
「ハッ! これで神聖魔法も5000となりました! これと大魔神さまのおかげです!」
感激に涙を流しながら震える大牙。
「これからは、大牙が他の鬼たちを導いて欲しいんだ。できそうか?」
「お任せください! 必ずや鬼族をこの黄泉で一番強い軍に育て上げてみせます!」
大牙はしばらく動けなくなった。
「なにもそんなに泣くことないだろう?」
「いいえ、前の大王は部下を鍛えることもありませんでしたし、鬼族を守る意識もなかったんです。そ、それが、大王魔神さまがいらっしてからこんなに変わるなんて!」
「それは大げさだよ。ただまぁ、あの大王はなかったよな。後進の育成だって先輩の役目だろうに」
突然、大牙が俺の前に跪いいた。
「大魔神さま。どうか、私の忠誠を誓わせて下さい! いついかなる時も大魔神さまのため、この命、預けます!」
大牙が言い終わった時、俺の体に変化が生じた。より、魔力が高まっただけでなく、力が漲る。
「おお? なんだこの力は!? どうなっている?」
ステータスを確認する。
名前 ソウ
種族 亜神
称号 大閻魔神
レベル 9999
HP 99999
MP 99999
力 測定不能
体力 測定不能
素早さ 測定不能
魔力 測定不能
加護 異世界神の加護 冥王神の加護 エルフ神の加護 リドリー神の加護
スキル
神聖魔法 9999
闇魔法 9999
風魔法 9999
刀術 9999
鑑定術 9999
錬金術 9999
鍛冶術 9999
なんか、種族が亜神ってことは……、俺もう人間じゃないってことか? 辞めたつもりはないんだかなぁ……。
それにしても! 力や体力やらが9999だったのに測定不能になってる! さらに上があったのか! しかも測定出来ないだけでさらに上がありそうだ。カンストまでの道のりはまだ先ってことか……。
「大魔神さま? どうされましたか?」
「いや、何でもない」
「何やら、嬉しそうでしたので……」
「ん? そうか?」
手を顔に当ててみると口が張り裂けんばかりに上がっていた。どうやら、まだ強くなれるってことが分かったお陰で無意識に嬉しかったんだな。
「ま、それはいいとして。大牙よ。俺はあの水竜を今一度、蘇らせたいと思う。少しばかり話を聞きたくてね」
「ハッ! 御意に」
さて、始めるか。リザレクション!
水竜は再び蘇った、が、意識がない。
しまった、やりすぎたか? おーい、返事をしてくれ!
パンパンと往復ビンタをしたのだが……、力が強すぎたようで、首の骨が折れてしまった。
「あ、こりゃいかん。リザレクション!」
再び蘇える水竜。今度は間違って殺さないようにしなくては……。ヒール、キュアー!
「はっ、我は……、一体?」
「起きたか? お前に聞きたいことがあってな。今一度、蘇らせたんだが、少しは話を聞いてくれるか?」
水竜は飛び上がるように、後ろに下がって頭をさげるのだった。
「この度は、無礼を働いてしまい誠に、誠に申し訳ない。失礼とは存じるが、そなたは神格を有しているのではないか?」
「あぁ、どうやら、亜神らしいんだが、大閻魔神になっているようだ」
「おぉ、やはりか。我が敵わぬわけだ。それで聞きたいこととは?」
「まずは、人間界に手を出すのを辞めて欲しいんだ」
「ぬぅ、もう竜族も我しかおらぬようだし。致したかたあるまい。わかった。要件を飲もう」
「その点なんだが、なぜ人間界に用があるんだ?」
「見ての通り、北の大地には作物が生えにくい。我等竜族は草を
「気候の変動?」
「そうじゃ、人間界とこの黄泉は表と裏。人間界の気候が変わればこちらも影響がでる。我は元に戻したかったのじゃ」
「そうだったのか……」
俺は衝撃を受けた。人間界に起きていることで、困る者たちがいて、何とかしようとしていたなんて……。
「そうか、俺も元は人間だ。済まなかった」
水竜は俺に頭を下げていたが、俺も水竜に頭をさげる。
「じゃが、もうどうしようもない。我が一族は滅びるのであろう」
「待て、そんな事は俺が許さん」
俺はこの麓から社屋まで広い範囲に魔力を広げた。
「エリアリザレクション!」
かつて倒した水竜の部下たちが全て蘇る。
「こ、これほどの魔力とは!」
驚きに顔をこわばらせる水竜。
「お前の願い。俺が何とかしよう。あ、とりあえずこの辺りに応急処置だけはしておくよ」
可能な範囲全てにエリアヒールとエリアキュアーを使った。
すると、禿山のようだったこの本殿の周りから、緑が広がっていく。
水は澄み、森が戻り、空には太陽が照り始めた。
「おおっ!かつての姿が戻ってくるとは!」
涙を腕で拭いながら震える水竜。
「とりあえずは、これで何とか持つだろう? またおせんが進んでくる前に今度は自分の力で何とかしてみるんだ。それで駄目なら俺を呼んでくれ。何時でも駆けつける」
「ありがとう。お主の名は何というのだ?」
「俺はソウ。たまたま、この世界に来たんだ。あと、お前にも祝福を与えておく。レベル上げは自分で何とかしてくれ。魔法の使い方はこちらの大牙から聞いてくれないか?」
「な、なんと! 我に祝福を与えてくれるとは! くっ……」
水竜は泣いてばかりだな。
「俺は人間界の影響がこの世界に及ばない方策を考えてみる。それまでは、その神聖魔法で自分たちの世界を守っていてくれ!」
「もはや、なんと言ったら良いものか……」
「大牙も済まないが手伝ってやってくれないか?」
「御意に。大魔神さまの御心の広さ、感服いたしました。これからのことはお任せください!」
「おうっ! 頼りにしてるぜ! さて、行くか、コン!」
「ワン!」
俺は再び、黒い霧を出し、日本へ一旦戻るのであった。
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