　中野は頭がおかしくなったのだろうか。

　そう思ったのは私だけではなく、友人たちも同じだったに違いない。彼が語ったのは、それほど荒唐無稽な物語だった。

　とはいえ、貧乏なはずの中野が私たちに高級肉を振る舞ったのは、紛れもない事実だ。もしも『無限冷蔵庫』の話が本当ならば、その点は不思議でも何でもなくなる。

　私たちは、少し釈然としない想いがありながらも、すき焼きパーティーを堪能して、その日は解散となり……。

　毎日のあれこれに埋もれて、私の頭の中から『無限冷蔵庫』の一件が消えかけた頃。

　とんでもないニュースが飛び込んできた。

　中野が自殺したというのだ。

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