第14話 クラスは運?いいえ力こそ全てですわー!
「では、交渉成立ですね。帰ったらそれ相応の覚悟をしておいてください。物凄い事を命令させます。」
スキップで戻っていく美月を追って、凉坂さんの方へと戻った。
「彩様、調べたところどうやら啓様のお友達はもうご帰宅済みだそうです。」
「美月が言うなら本当みたいですわね、仕方がありませんので今日ご挨拶することは諦めましょう。」
危なかった。やはりお嬢様をコントロールするには使用人の方からするのが正しいらしい。
安心したとともに、わざわざ学校に連れてきて何もさせないことに多少の罪悪感が湧き出てくる。何か代わりになることはないだろうか。
「そういえば私普通の学校というものをよく知らなくって、よろしければ先程仰っていた体育館やプールなどの校内を案内してもらえませんか?」
「案内とは言っても入れなさそうな場所は無理だから、鍵の要らなそうな部分だけ案内させてもらうよ」
凉坂さんが気を遣ってくれたのか、ちょうどいい落としどころを持ってきてくれた。もしかしたら彼女の事をパワー系の脳みそまで筋肉系の美人だと思っていたがそんな事は無いのかもしれない。
綺麗になった校舎に入っていく。ほとんど同じ作りになっているはずなのだがやはり違和感が拭いきれない。何となく、新学期に出席番号が変わった感覚を思い出してた。
「そういえば二人はもうクラスとか聞いてるの?転校とかしたことないから、分からないけど」
「それはもちろんお父様にお願いしておりましたので、私も美月も啓さんと同じクラスですのよ」
少しだけ恥ずかしそうにお嬢様が答える。
早くこの案内を終わらせて自宅で、凉坂家についてスマホで調べて見よう。ヒットしなければ検索エンジンが使い物にならない事が分かる。そうじゃないのなら凉坂さんが美人局という可能性がほぼ確定だ。
そういえば父親がボーナスがそろそろだって喜んでたかな。
「啓さんは嬉しくないんですか?」
あまりの可愛らしさに少しドキドキする。心が落ち着いたのか凉坂さんの可愛さを観察する余裕が出来てきた。
いや、危ない。一緒に住むならそういう感情は逆に捨てなければいけないんじゃないか?でも可愛いしなあ。
「凉坂さんたちが同じクラスって言うのは嬉しいけど、転入生が一クラスに二人って多くない?」
クラスへの割り振りってちょうどよくバランスを取るようなものなんじゃないのか?
しかもこんな美女が二人も転入だ、なんて他のクラスに物凄く恨まれそうだ。それに絶対に二人が近くにいたら授業に集中できない。
「それについては大丈夫ですわ!どうやら啓さんのクラスは一人の方が来ていらっしゃらないそうでしたので」
「ああ、そういえばそうだね」
教室の隅っこに机が寂しそうに一つ置かれていたことを思い出した。いつもプリントが満帆でたまに優しい奴らが整理をしては届けていたらしい。
一度だけ友人の旭と届けに言った事がある。その時は何となく暇だからついて行っただけで会う事すら叶わなかった。そこで、何となく哀れに思った事はなぜだか鮮明に覚えていた。
あの寂れた机は改装時に撤去されてしまったんだろうか。
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