第12話 何かルールがあるはずなので多分合法ですわ!!!
「という訳で啓様には下見の付き合いとして、今から一緒に学校に行ってもらいます」
「休日なのに?」
正直ちょっと面倒くさい、というか今日一日でこれ以上イベントを詰め込んだら既にパンクしそうな脳が爆発を起こしてしまう。
いや、学校位なら大丈夫か。
「そうですよね、啓様のせっかくの休日ですもんね失礼しました。今の啓様のやさぐれた感じがDV男みたいで最高でした。ですので、一人で行って私がDVされた事を今日学校にいる部活動をしているであろう方々に広めたいと思います。失礼しました。」
とんでもないことを言い出した。どうやら凉坂さんのように素手で爆弾を持っているタイプでなく、このメイドは言葉で間接的に爆弾を使うタイプらしい。
厄介だ、ゲームでいたら確実に処理が面倒な敵だ。
「待って待って待って、美月話し合おう、話せばわかる」
「はい、では一緒に行っていただけるという事でよろしいですか?」
「分かった、行くから言動だけには気を付けてくれ」
「分かりました、そう言っていただけて嬉しいです。彩様を呼んでまいりますので出かける準備をして待っていてください」
そう言って美月は部屋を飛び出していった。
そのすぐ後にドタバタという音が隣の部屋から聞こえて来たので、きっとお嬢様が何か準備を始めたんだろう。
「啓さん!一緒に行ってくれるって本当ですの?」
ドア越しに凉坂さんの声が聞こえてくる、やけに嬉しそうだ。
「本当です」
「じゃあ善吾急下ですわ、早くいきますわよ!」
ドアが急に開けられて、体が引きずり出されていく。
「分かった、行くから落ち着いて、凉坂さん落ち着いて、痛い痛い体取れちゃうから」
「あ、ごめんなさい、啓さんと一緒に学校に行けるってなったら嬉しくって」
凉坂さんは散歩前の犬のようにそわそわしながら僕の部屋で準備を待ち始めた、特に特別な事はなかったので準備にそこまでの時間はかからなかった。
「では、行きましょうか」
「啓さん乗ってください」
外に出ると家の前に車が止まっており、サングラスをかけたカッコイイドMなメイドが運転席から顔を出している。
ん、ちょっと待てよ、車の免許って18歳からだよな。ってことはもしかしなくても美月って年上なんじゃ……。
「美月って歳いくつ?」
「はぁ、女性に年齢を聞くだなんて啓様は本当にデリカシーというものが掛けておりますね、車に乗れる高校生なんだから18に決まっているでしょう」
「年上だったんだ」
「その年上なのにこんな変な奴なんだ、って目凄くいいです」
これ以上何か言うと下手に喜ばせそうだから黙っておこう。
「学校まで車使う距離かな?徒歩で15分くらいだけど」
「啓さんそれに関しては私が説明をしますわ、お父様から外に出るとき、特に通学時には狙われやすいので気を付けろと言われておりますの」
申し訳なさそうにお嬢様が言う。
大金持ちの考え方はよくわからないが、上流階級には上流階級なりのルールや常識があるみたいだ。だからと言って人の家のドアを壊したことには納得いってないがこのくらいのルールなら受け入れられるようにしておいた方がよさそうだ。
「準備がよろしいようなので、発進させていただきます。」
席に着いてシートベルトを締めた途端、車が動き出す。どんどんと加速していき、体に少しの抵抗を感じた。早い、絶対法定速度を超えている。後部座席からスピードメーターを覗き込む。メーターの120文字に針が掛かっていた。怖いので見なかったことにしよう。
とりあえず、金持ち専用の車は何かルールや規定が違うから問題ないと僕は自己暗示を始めた。
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