第12話 ふと佇めば

音もなく吹き抜ける

風の吐息

眩しさを帯びた陽ざしは

少しずつ憂いを帯びて

季節はめぐり

時間だけが過ぎていく


まだ遠いと思っていた

秋の色は

一瞬にして人の心に

あの日聞いた波の音を

想い出に変えていく

季節の流れに

それぞれの時間を越えて

それぞれの違う場所で

透き通った青い空

見つめながら

心に結んだ絆を

あなたもわたしも

向き合って見つめてる


そう思っていいよね


心で手を繋ぎ

心でキスをして

心で抱きしめあって

その時だけ

想いの中の時間が

信じられるひととき


私たちは

幾つもの季節を重ねて

想いも重ねて

ここまできたのだもの


ね、そうだよね


ふと佇めば

風に問い

季節の移ろいに

聴いてしまう


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る