神様より偉い悪神様の人間転移 〜付人が本棚を倒してしまい、人間マニュアルがごちゃまぜになったことを知らずに転移スタート〜

いそゆき

第1話 ごちゃ混ぜの人間マニュアル




▷▷▷▷ダリア◁◁◁◁





私は悪神様の1人、眩耀神様の忠実な付人、ダリア。


悪神様は神様より偉い存在。

だから、ダリアも偉いのです。

そして、今、ダリアは猛烈に張り切っているのです。



なぜか?



それは、悪神界から外に出たことがない眩耀神様が初めて人間の世界に行きたいとおっしゃり、私に『人間マニュアル』を整理するよう命じて下さったのです。


親愛なる眩耀神様にお願いされるなんて、こんな嬉しいことはないのです。

眩耀神様は、私にとって師匠、親、姫様、あらゆる存在、なのです。




ダリアの力を認めてもらい、褒めてもらうため、私は早速書庫に来ています。



目の前には、高さ20メートルの本棚がいくつもあり、本棚には人間の事が書かれた本が

10万冊あるのです。

あと、端の本棚には私愛用の漫画もあります。



これ位の量、眩耀神様に神気を分けていただいているダリアならあっという間です。


現に、ダリアが念じるだけで1冊の本が私の元にフワフワと届き、ページを捲ると文字が浮かび上がってます。


悪神界にある本は、ページを捲ると文字がキラキラと光って浮かび上がり、とても綺麗です。



試しに、1万冊を同時に浮かべてページを捲ってみましょう。


ほら、部屋中がキラキラして更に綺麗です。




今度は本を空中で回して見ましょう。



ほら、闇夜で回るメリーゴーランドのようにキラキラが増して綺麗になりましたよ。



『う、うわぁ』



誰ですかもう、本が床に落ちていて躓いてしまいました。



あれ?



先程までキラキラ回っていた1万冊の本が、残りの9万冊の本が入った本棚に体当たりしてますね。



あれ?



本棚が傾いてますね。






〈ドッカーーーーーーーン!!〉







▷▷▷▷眩耀神◁◁◁◁






妾は悪神の1人、眩耀神。

妾こと、悪神の役目は、人間1人1人にレコードと呼ばれる生から死までの人生設計を付与すること。


そして、妾の配下にいる神の役目は、レコードを付与された人間を惑星に配置すること。





〈ドッカーーーーーーーン!!〉




んっ?


何やら大きな音が聞こえましたが、まあいいでしょう。

話を続けましょう。




先刻、神の1人、シン•アントワネットから人間世界の面白い話を聞いた。

食べ物という美味なものがあり、アルコールを交えて飲み会なるものがあるのだと。


だからと言う訳ではない。


妾は人間にレコードを付与する立場でありながら、人間のことを知らないのは如何なものか、と、その時思い、人間を体験してみることにしたのだ。



付人のダリアに『人間マニュアル』の整理をお願いしているので、もうすぐ人間体験がスタートできるでしょう。



ふふふ

楽しみです







▷▷▷▷ダリア◁◁◁◁





これは、困ったのです。

ダリアはやらかしているのです。


床には全ての本棚が倒れ、10万冊の本と漫画、10万冊分の文字が散らばっています。


散らばるというより、これは積もっています。

恐らく、ダリアが10メートルの高さから飛び込んでも平気な位、雪のように文字が積もっています。




カン

コン

カン

コン


!?


これは足音!?



普段浮遊して、決して歩かない眩耀神様が廊下を歩いています。

これはかなり上機嫌な気がするのです。



もうすぐ、ここに来ます。



こうなれば仕方ありません。




『えぇーーい』




本棚が元の位置戻り、文字も本に次々と戻っていきます。

文字が入り終わった本は、全て本棚に戻りました。


さすがダリアです。

やればできるのです。




『ダリア、準備はできていますか?』


扉が開いて眩耀神様が来ました。


『もちろんです。ダリアは凄いのです』

『うむ』


眩耀神様が本を見ています。

気づかれちゃいましたか?


『これが人間マニュアルの1巻だな』


眩耀神様が手招きすると、1冊の本がこちらに向かって飛んできます。


『どれどれ』



『ほう。人間とは外敵から身を守るため、生まれてから30分程で立ち上がるらしいぞ』


《ごめんなさい。それ、麒麟の話です》



『ほう。人間はカルシウムを得るためにコンクリートという石を食べるらしいぞ』


《ごめんなさい。それ、カタツムリの話です》



『なかなか面白い。早速、人間に転移するか』

『もう、です?』

『うむ。転移先は•••、人間を知るにはこの星がいいだろう』

『••••』

『心配するでない。ダリアもナビゲートを頼むぞ』

『はい、です』



そこまで話すと、眩耀神様は再び人間マニュアルの入っている本棚を見つめ、オッドアイである右目が赤色から黄色、左目が青色から灰色に変わりました。



『とりあえず、5万冊は目を通した』

『こんな、短時間でです?』

『うむ。それで分かったが、今から行く世界では、王族というのが1番身分の下の庶民らしい』


《ごめんなさい。王族は1番偉いです》



『やはり、人間を知るには底辺スタートが理想であるな』

『あ、あの•••、です』


『この世界で最近生まれた王族は•••、庶民というのになかなかヒットしないではないか。おっ、ちょうど1人いたぞ』

『げ、眩耀神様•••』


『少しおかしな状況の器だが、まあよいか。うむ、これで準備はできた。では、行って参る』



眩耀神様のお姿が徐々に消えて行きます。





『げ、眩耀神様ーーーーーー!!』






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