第15話 皆で楽しい晩ご飯

 晩ご飯はもちろん僕が作る。

 とにかくこの世界の食事はまずすぎる。

 先日買った薬草でかなり美味しいハンバーグは出来るようになった。

 しかし今回はそれに美味しいソースも作りたい。


 ローズに料理番組の様に、焼く前のハンバーグを出してもらう。

 それをフライパンで焼き。そこに出て来た油に、トマトに似た野菜を刻んで入れて、塩と薬草を適度に入れて、葡萄酒を入れる。

 後は一煮立ちで完成。


 そして、肉団子のスープだ。

 こっちは鳥のがらで出汁をとってたっぷり野菜を入れて作ってみた。


「ノコ様、鳥の骨なんか入れると気持ち悪いです」


 僕の調理を見てローズが口をゆがめている。

 ふふふ、これがあほ程美味しくなる秘訣とも知らずに。

 パンはお店で買ってきた。

 これだけ美味しくしても、やっぱり日本の料理よりは数段落ちる。

 味噌や醤油が懐かしい。


 そういえば、以前勇者ヒロに、日本食を広めていないことに、がっかりしたが、自分でやってみて、無理だということが良く理解出来た。


 ひとまず全員分を机に運び実食である。

 一応お替わりも用意しておいた。

 僕が席に着き、手を合わせて


「いただきます!」


 皆がキョトンとしていたが、すぐにまねをして食べ始めた。

 スープを口に運ぶ人、ハンバーグを口に運ぶ人と別れたが、全員口に料理を入れた。


「……」


 何も返事が無い。

 自分で食べてみた感じでは、まあまあ食べられる物は出来ていると思うのだけど。

 少なくとも「まずーい」とは、なってないはずだ。


「ぎゃーー」


 ん、最初はヒュアちゃんが悲鳴を上げた。

 これはどっちだ、王族だから美味しいものを食べまくっているから、まずかったのかな。


「おいしーー!! 美味しすぎますーうう」


 最早泣いている。

 そこまで喜んで貰えるとやっぱりうれしい。

 僕の足下では、黒猫マリーも猫舌だから食べにくそうだが、スープをガツガツ食べている。すごくかわいい。


 あとの連中は、声を出すのも忘れてガツガツ食べている。

 一言くらい「おいしい」の一言は欲しいけど、それだけ食べてくれればまあ、分かるけどね。


「お替わりもありますよ。食べられる人は言って下さい」


 言い終わった瞬間、ローズもユーリさんも、アクエラさんもホベルトさんも、両手に皿をもって


「おかわりーー!!」


 声がそろっています。


「にゃー」


 足下でマリーも声をだしました。


「お替わりをお願いしますー」


 少し遅れてヒュアちゃんが顔を赤らめてお替わりをしてくれました。

 その顔が超可愛いのはいうまでも無い。

 ホベルトさんが猛烈な勢いで食べています。

 よほど美味しかったんですね。

 皆が一生懸命食べてくれて、僕はうれしくなっていた。


「ノコ様、あの気持ちの悪い鳥の骨が入った為か、今回のスープは前に食べた物より美味しく感じます。これも全部、夢の世界での料理法なのですか?」


 ローズがゆっくりスープを口の中で味わいながら聞いて来た。


「そうなんだよ。でもね、向こうの世界の和食は、もっと美味しかったんだ」


「な、なんですってー」


 すごい、全員の声がそろった、少し驚いてしまった。


「ノコ様はどんな和食が好きなのですか」


 ヒュアちゃんがいい質問をしてきた。


「好きなものは一杯あるけど、いま食べたいのはミソラーメンとチャーハンと餃子だね」

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