第3話 入学試験


「あ、おかえり柚月」



入学試験の最終日ーー家に帰った柚月に向けて、和室で洗濯物を畳んでいる母が話しかけてきた。「お疲れさま」



「…うん……」


返事が重苦しい。


様子のおかしい彼女に母も気づいたらしく


「なによぉ…どうかしたの? まあ、中学の入試なんだから。もし落ちてても普通に公立に入ればいいんだし。よかったわねぇ、高校の入試じゃなくて」

「…中等部だよ」

「あ、そっか。中等部だったわ。でも、まあまあできたんでしょ?」

「…え?」

「…入学試験」

「…ああ…うん……」

「なあに? ボーッとして…変な子ねぇ……」



母は笑っていたけれど。柚月は階段を上がっている足を止めた。



筆記試験は確かにできた。



しかし


その後やらされた実技?



アレは実技ーーというモノなのだろうか?


ただの玩具での的当てゲーム……まるでお祭りで行う射的のようだった。


どうしてそんな実技が試験に関係があるのか……?



「…謎じゃ……」





そして知った。


この学園は他の学校とは違っているということに。


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