スペステ最後の階層

 戸惑いの森ダンジョンのスペシャルステージ3階層のセーフティゾーンに辿り着いた。

 ボス部屋への突入前に、少し休憩だ。水を飲んで一服である。生活魔法のウォーターはおいしいなぁ。イメージを日本のミネラルウォーターにしたのが良かったのかもしれない。気のせいかもしれないけど。


「さてと、白銀の剣を出したら、突撃だ。相手次第では、今度こそ身体強化をしてアブソリュートゼロ連発だな」


 相手の抵抗値が俺の身体強化済みの精神力より低かったらいけると思う。発動までに時間は少しかかるが、1回目は攻撃が当たるまでは相手は動いてこないだろうし、1回放てば氷漬けにして次のアブソリュートゼロの時間も稼げるからな。ハメ技でもクリアできるのであれば、クリアしておきたい。

 

 俺はボス部屋の扉をゆっくりと開ける。

 ボス部屋に入ると中は今までとは違って、辺り一面白色っぽい部屋だった。

 地面と壁は白い大理石のような石で出来ており、広さは先程の部屋と同じぐらいだと思うが森がない分、かなり広く感じる。


 そして、ボス部屋の中央では相変わらずの黒い霧が集まり渦巻いていた。

 そこから姿を現したのは2メートルぐらいの高さで横幅が今までの相手と比べるとかなりある金属で出来てそうなゴーレムっぽいのが現れた。二足歩行で、全体的に硬そうなイメージだ。


 今回は戸惑いの森のダンジョンにいた虫種でもゴブリン種でもないな。ゴブリンの新しいのが来るかと思ったが、ゴーレムみたいなのが出てきたな。

 とりあえず<鑑定>してみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名称:ソリッドゴーレム

種類:ガーディアン

状態:普通

ステータス

 レベル:25

 体 力:50/50

 魔 力:50/50

 攻撃力:85

 耐久力:350

 敏捷力:48

 精神力:55

 抵抗力:350

スキル

 硬質化、ぶんまわし

魔法

 なし

エクストラスキル

 なし


装備

 アクセサリー:守護者の腕輪 耐久力+50、抵抗力+50


アクセサリー名称:守護者の腕輪α

状態:高品質

価値:Aランク

特殊効果:与えたダメージの50%体力を回復する

詳細:ダンジョンマスターがガーディアン専用に作ったアクセサリー。耐久力+50、抵抗力+50

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「やっぱりゴーレムだったか。しかも完全に防御型だな。さらにアクセサリーがやばいな。装備がこれだけなのは救いだけど……」


 ステータスが凄い尖っている。耐久力と抵抗力が300超えてるって、初級ダンジョンでこれはやりすぎな気がしてならない。いくらスペシャルステージだからって、もう少し優しくして欲しいものである。しかもアクセサリーにとんでもない特殊効果があるし、このソリッドゴーレムが持っていたら、普通の相手だったら下手すると一生倒せない可能性がある。

 しかもこのアクセサリーの詳細がまた何ともいえないな。こいつ専用の装備だと思うんだけど、それよりも……


「ダンジョンの管理人の他にダンジョンマスターもいるのか。管理人がダンジョンマスターだと思ってたんだけどな」


 ダンジョンを管理する者と経営する者が違う感じなのかな?というか管理人って事は人族なのだろうか?まあ、今は分からないし気にはなるが、謎は謎のままにしておこう。今後分かるかもしれないしな。


 それよりも今はソリッドゴーレムだな。硬いという事は分かったが、その分体力がかなり低い。普通の人なら物理攻撃と魔法攻撃でこの相手を削っていくのは大変だと思うが、俺にとっては正直かなり相性のいい相手だ。

 普通なら苦戦する相手なのだろうが、俺には体術をレベル10にした時に覚えた超体術がある。これは体術での攻撃時に固定ダメージを10プラスする効果がある。よって、体力が50しかないのであれば、5回体術でダメージを与えるだけで倒せるという訳だ。

 一応、装備アクセサリーの体力回復があるから、ソリッドゴーレムの攻撃を貰わないように注意しながらになるから、気をつけるようにしよう。


 当初の予定ではアブソリュートゼロ連発で倒そうと思っていたが、ここでも出来なさそうなので作戦変更である。前の時は身体強化忘れただけなので、自分のミスなのだが……


 俺はソリッドゴーレムに近づくが、動く気配はない。

 とりあえず、全力で蹴ってみるか。

 ソリッドゴーレムの左足に向かって、<身体強化>+<インパクト>の横蹴りを放つ。

 ソリッドゴーレムはビクともしなかったが、すぐに動き出し、俺を腕で薙ぎ払おうとしたが、すかさず後ろへ下がって攻撃を躱す。

 敏捷力が50と、そこまで速くはないので、余裕で躱す事が出来た。余裕ついでに<鑑定>でダメージの確認をした。

 体 力:40/50

 

「固定ダメージ分しか減ってない、だと」


 ステータスに差があるとダメージを与える事が出来ないようだな。ただし、固定ダメージは与えられると。これは貴重な経験になったな。

 そうなると固定ダメージがないと、このステージはとてもじゃないけどクリア出来ない感じだな。おいおい、難易度がおかしいぞ。

 だが、逆に固定ダメージがあれば結構楽な気がする。体力が少ないからね。あとは相手の防御力を上回る攻撃が出来ればいいけど、今現在は難しそうだな。


 俺はソリッドゴーレムの薙ぎ払いの腕を躱してから、間合いを一気に詰めて、今度は右足に蹴りを放った。今度はスキルなしの普通の蹴りだ。

 普通の体術の攻撃でも固定ダメージは入る。ただし、デコピンやつっつくなどではダメージを与えられなかった。これはゴブリンキングで検証済みだ。ある程度の強さで攻撃しないとダメージは与えられない。

 もちろん全力でデコピンをしたらダメージを与えられる。要は軽い攻撃では攻撃力があってもダメージが与えられないという事だ。この時は固定ダメージも与えられない。


 今回の蹴りはかなり強めに攻撃した。<鑑定>で確認してみると、

 体 力:30/50


 ちゃんとダメージは通っているようだな。

 鑑定していると、今度は反対の腕がぐるっと回りながら襲ってくる。

 これはスキルのぶんまわしっぽいな。特に光ったりしないからわからなかったが、<身体強化>を使いつつ、後ろへ跳んで回避した。


 ある程度、相手の強さも分かったから、一気に倒すとするか。


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