デビルゴブリンとの再戦
アブソリュートゼロを覚えた次の日の朝、俺は少し緊張していた。武器を新しく強い剣に変えて、さらにすごく強い魔法も覚えたので、前回のような負けはないとは思うが、どうも心が落ち着かない。昨日はそんな事なかったが、これから再戦となったところで、少しトラウマ気味になってしまっているのだろうか。
とりあえず、深呼吸して落ち着こう。
俺は何度も、深い呼吸をする。
ゆっくりと呼吸をする事によって、少し落ち着いてきたと思う。よしっ、今日こそは勝たせて貰うとしよう。
デビルゴブリンに勝った後、次の相手と戦うかは別としても、どんな相手かは確認しておきたいしな。
出来れば戦いやすい相手がいいのだが、まずはデビルゴブリンを倒す事に専念する。
俺は再度深い呼吸をしてから、家を出てダンジョンに向かった。
ダンジョンまではいつも通り進み、ダンジョンに着いてからトマドイの指輪をはめて、転移陣を起動した。
やってきたのは、デビルゴブリンのいる部屋の前のセーフティゾーンだ。
一応、アブソリュートゼロの連射で倒す予定だが、連射の間の隙をついてくる可能性があるから装備は整えておく事にする。前回と違うのは白銀の剣を装備しているところだな。
前日にアブソリュートゼロの検証もそこそこしたのだが、まず範囲が前方に1キロはあるんじゃないかと思えるほど長く、横幅も300メートルはありそうな感じに超広範囲なのだ。
そして、とうとうゴブリンキングを1撃で倒せる魔法を覚えてしまったのだ。
一応、剣術アーツのスターダストの5連撃であれば倒せるのだが、本当に1撃で倒せるのは今回が初めてだったのだ。
これでますます周回の効率は上がったのだが、魔力消費量がかなり多いので、1日中使い続けるにはマジックポーションが大量に必要になる。この方法はもっとマジックポーションが手に入った時にやるかもしれないが、今は魔力超回復で回復するのを待ちつつ近接武器の訓練という形になった。
ボス部屋に入ると黒い霧が集まり渦を巻いていく。そして、その中からデビルゴブリンの姿が徐々に現れてくる。
初手は計画通りアブソリュートゼロで動きを封じつつダメージを与える。
「〈アブソリュートゼロ〉」
デビルゴブリンに向かって氷が勢いよく向かっていき、地面が凍りついていく。デビルゴブリンに当たると身体全体までも氷漬けになっていた。
「これは思った通りハメ技っぽい感じになるな。あとは氷から抜け出す前に2発目を打てばいけるぞ。その前にダメージ確認しとくか。〈鑑定〉っと」
体 力:343/350
「え?ダメージ低っ」
なぜに?
ダメージものすごく低いんだけど。相手氷漬けでダメージ1桁ってどうしてだ?ゴブリンキング1撃で倒したんだけど……
ぜんっぜんダメージが通ってないじゃないか……
俺の予想では50以上は与えていると思っていた。いや、アブソリュートゼロを見た感じだと100ダメージはいけるんじゃないかなぁと思っていたんだ。それなのに7って……
俺が呆然としているとデビルゴブリンを覆っていた氷が内側から壊されて一気に飛び出してきた。
「まじか、しょうがない。白銀の剣で戦うしかないか」
アブソリュートゼロ連発で勝つつもりだったが、ダメージが低すぎるので諦めて接近戦で戦う事にした。
今回は武器が簡単に壊される事はないと思うし、前回も武器が壊れなければ倒せたはずだから、油断しなければいけるはずだ。
俺は素早くデビルゴブリンの周りの氷を消した。こういう時、魔法の残骸が消せるのは便利だ。そうじゃないと地面に逆氷柱などが結構あるので戦いにくくなる。
これが有利に働くなら消さないが、今は特に有利になりそうな感じではないので、消してしまう。
俺が氷を消したら、すぐにデビルゴブリンがこちらに向かって走ってきた。
白銀の剣を構えて、デビルゴブリンを待つ。
デビルゴブリンがクリムゾンダガーを俺に向けて、突き攻撃をしてきた。
俺は白銀の剣に魔力を流しながら<身体強化>を行い、突きを受け流すように短剣を捌くのと同時に、
「〈インパクト〉からの<ダブルスラッシュ>だ」
短剣を捌いた隙をついて、<インパクト>を乗せた蹴りでデビルゴブリンにダメージを与えた。さらに<ダブルスラッシュ>による追撃を与えていくが、1撃目は腕をかすめるだけで、2撃目に至っては上手く盾で防がれてしまった。
相変わらず、防御と回避が上手いじゃないか。<インパクト>で体制を崩していたのに、直撃を避けてさらに防御までしてくるなんてな。
俺はすぐに次の攻撃へと移り、<三日月斬り>をデビルゴブリンへと放った。
しかし、三日月斬りはクリムゾンダガーにより受け止められてしまったが、<身体強化>しているので強引にデビルゴブリンの方へ押し込んだ。
デビルゴブリンは抑え込む事ができず、体勢を崩したので、俺はその勢いと共に<インパクト>の蹴りで、すかさずダメージを与えていく。
「よしっ、少しずつだがダメージを重ねられているぞ。トラウマもないし、この調子で油断せずに集中していこう」
前回、鉄の剣が折れた後の一方的な攻撃が恐怖心として残っているかもと思ったが、戦えない程ではなかったな。
そういえば、前世ではどんなに嫌な事や苦手な事をしても怖気づいたり日和ったりする事もなかったかも。好きな事をして上手くストレス解消をしていたのかもしれないな。
主にゲームやってただけなんだけどね。
今回は意外と深呼吸が上手く働いたかもな。いい流れだ。この調子でどんどん攻めるとしよう。
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