第14話 変なクセ

 智恵が手を叩く。1拍。2拍。3拍。4拍。5,6拍。

 智恵「純介!そこも違う!もう、他の人は一回休憩してていいよ!」

 俺と智恵以外のみんなは休憩に入る。

 純介「最初からもう一度教えて貰っていい?」

 智恵「はぁ...踊れないのは迷惑だから...ちゃんと見ててね?」

 智恵は俺の前で踊ってくれる。頑張れば踊れることばかりだ。

 智恵「ほら!やってみて!」

 純介「わ...わかった...」

 智恵が手を叩く。1拍。2拍。3拍。4拍。5,6,7,8拍。

 智恵「なぁんか、違うんだよなぁ...」

 純介「そう?完コピしてるつもりだけど...」

 智恵「出来てない、出来てない!こうじゃなくてこうね!」

 純介「えっと...こ、こう?」

 俺はこんな感じで一日中絞って絞って絞り込まれた。そして、夜7時に帰宅する。

 純介「はぁ...踊れないのは死活問題だな...練習しなくちゃ...」

 俺は家で練習する。何度も。何度も。

 彰「お兄ちゃん!ご飯できたよぉー!って...踊ってる...しかも下手...」

 純介「下手で悪かったな!」

 彰「何々?グループ、作るらしいけどその練習?」

 純介「まぁ、うん...そうだな...」

 彰「曲は作るの?」

 純介「作るつもりだけど...何も浮かび上がらない...」

 彰「そっかぁ...大変だね...」

 俺は無言で頷く。

 彰「そうだ!ご飯が出来たんだよ!食べる?」

 純介「いや、もう少し練習してからにするよ...」

 彰「そっか!頑張ってね!お兄ちゃん!」

 純介「あぁ...ありがとう...」

 彰は部屋を出ていった。俺はしばらく練習してみんなに追いつく位は踊れるようになった。

 ー8月3日午前9時、練習場所ー

 智恵「それじゃ、始めるよ!!!今日は昨日の復習から!一回拍に合わせて踊るね!」

 智恵が手を叩く。そして、全て踊りきった。

 智恵「みんな、昨日よりは踊れるようになってるね。でも、純介。あんたは駄目。踊るのに変なクセが付いちゃってる。昨日、家であやふやで練習したでしょ!」

 純介「ご、ごめん...」

 智恵「それじゃ、もう一回最初から!」

 智恵が手を叩く。1拍。2拍。3拍。4拍。5,6拍。

 智恵「純介、そこできてない!昨日も注意したでしょ!?こうじゃなくてこう!!なんでできないの?」

 純介「ごめん...」

 智恵「別に謝ってほしいわけじゃないの、謝る時間があるんだったら練習して。アンタが踊れてないせいでみんなの練習止めてるのわかんないの!?」

 純介「ごめん...わかってるよ...」

 美緒「…ねぇ、智恵。それは流石に言いすぎじゃない?純介君はしっかり家でも自分なりに練習してきたんだから、褒めてあげなよ!」

 智恵「は?なんなの?美緒には関係ないでしょ?」

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