彼女のご飯が美味しすぎるがしかし
オノマトP
第1話 帰宅、そして(食事編)
ガチャリ。
「ただいま~」
「おかえりなさい♪」
玄関での簡単なやり取り。
会社で疲れて帰ってきた俺を、彼女のあたたかい笑顔が癒してくれる。
「お腹すいた~」
「今、用意するね♪」
そそくさと、台所に向かう彼女を見やりつつ、自室に入るとスーツからTシャツに短パンという楽な格好に着替える。
(そつがない。ほんとに俺の彼女はそつがなく、ガチで幸せだ~)
自室から出ると、美味しそうな匂い。
「用意できたよ♪」
そんな彼女の声に導かれるように、食卓につく。
「いただきます!」
「いただきます♪」
二人そろって、箸を伸ばす。
ごくりっ。
俺の喉が鳴る。
伸ばした箸に料理を乗せ、決意を固める。
「んっ」
(もぐもぐ……)
口に料理を運んで、次にご飯も一口ほおばる。
「どう? おいしい?」
とても笑顔の彼女がそう聞いてきた。とてもあたたかい笑顔。幸せを感じる笑顔。
「すっごくおいしいよ~! これは何?」
料理を箸でつまんで尋ねる。
「よかった♪ それはすぐそこで摘んできたニラと鶏肉の中華風炒め♪」
「味付けも最高っ!まるでお店の料理、いやそれ以上においしいよ!」
「もう♪ ほめ過ぎ♪」
「ん、あむ、もぐもぐ……ごくっ。どれもこれもうまい!」
「おかわりあるよ♪」
ひとしきり、料理を堪能した。
「ふう、うまかった、……って、あれ?なんか体調が変……」
汗がやばい。お腹が痛い。頭痛も、あ、これやばいやつだ。
「あ、ちょ、やば……」
「えっちょ、だいじょうぶ?!」
「あ、これマジりーむー(無理)」
ガクン。
意識を失いかける。
遠くで救急車のサイレンの音がする。
自分にじゃないな、ってことは今から呼んでも到着遅いかな?
横で彼女の声がする。慌てた声。意識が遠のくにつれて声も遠のくのを感じる。
「また、私やっちゃいました?」
そんな彼女の声を最後に耳にし、俺は意識を失った。
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