忘れられない思い出だった

 猛スピードで車を転がす。

 こうしていると、あの頃の仲間たちとツーリング()をした事を思い出すぜ。


 特にヤスは一番のマブダチだった。

 いつだったか、互いに夢を語り合ったよな……


 俺は、女子高生の太ももで思いっきりほおずりしたいって、お前に語ったな。

 お前は、熟女がタイプだって言ってたよな。本当、お前の夢はビッグだった。


 ヤス…… 俺、あの時の夢を叶えたよ。

 お前は今も夢を追っているんだろうか……


 そうそう、アニキの車でのドライブ()も楽しかったよな。

 よく三人で海沿いの道を走ったっけ。


 俺とヤスが夢を語るのに熱くなりすぎると、アニキは笑いながら「捕まらないようにしろよ」って言ってたよな。

 優しい、いいアニキだったよ……



 ふぅ…… 回し車は…… いい……



 ハッ

 ついつい夢中になってしまった。

 気付くと、みずきのお宝生着替えタイムがはじまっている。


 うおおお、たまんねぇ!

 ケージにかぶりついて、じっくり眺めさせてもらう。


「はいはい。るぅちゃん、もうちょっと待ってね♪ 着替えの後はお散歩だって覚えてるのねっ」


 バンバンとケージを叩いてアピールする俺に、笑いながらみずきが言う。

 まさか、もっとやれーとか脱げーとかそんなアピールをしているとは夢にも思わないだろう。(そりゃそうだ)



 着替えが終わって、いつものようにモフスタグラムのイイネチェックをする。

 むむぅ、この間のクソガキといい勝負じゃねえか。


「ほら、こっちのお友達も人気だねっ」

 見せられたのは俺と同じチンチラの写真だった。

 こいつのイイネは、俺ほどじゃあねえがなかなかの数だ。

 新たなライバルか…… 油断できねえな。


「一緒に海沿いをドライブ」

 とコメントのついた、こいつがダッシュボードでお座りしている写真に目がいった。


 ……うん? この車…… ダッシュボードに飾られているぬいぐるみに見覚えがある……

 いや、見覚えどころじゃない。これは……


 アニキの車じゃねえか!!

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