ケンカをやめて!

充「今年もボジョレー・ヌーボーの季節だな。赤とロゼ、白も買ったから、皆で味わってみたくてね。……じゃ柊くん、どれがいいかな?」

柊「えっ、えーっと……ロゼ、にしようかな?

 色がすごく綺麗なんですね……飲むの初めてです」

充「おお、そうか! 初めてとはまた素敵だ。君の頬がこの色に染まるのを見たくてこれを買ったんだよ。じゃ開けようか……ん、なんだ樹」

樹「(充をじいっと睨む)……いえ別に」

柊「……(その空気を察する)……あっっ! そうだ樹さんは赤が好きでしたねっ!? 俺やっぱりひとりじゃ飲みきれないし、樹さんと一緒に赤が飲みたいかなーっ……」

樹「……(柊の肩をぐいと抱き寄せてニヤッと微笑む)というわけで父さん、柊は僕と赤を飲むそうなんでそちらをいただきます」

充「(微妙に悔しげに)柊くん、こいつはいつもひとりで一本飲まなきゃ気が済まないヤツなんだ。だから、ね、君のロゼは私と一緒に飲もう。……どうだい?」

樹「……っ(充を睨み、ぎりっと奥歯を噛む)」

柊「……(真っ青になる)あ、え、その…………」

充「(ぐりっと横から腹に強烈な肘鉄を食らう)うぐっ!?」

充の妻・麗子れいこ「(充の横に座る)ごめんなさいねー柊ちゃん。この人、時々こういうSっぽい冗談言って楽しむ悪い癖があって困るのよ。ほら樹も機嫌治して。……充さん、あなたは私と一緒に白を飲むのよ!」

充「わかってるって……わき腹痛すぎ……!」

樹「(苛立ち紛れに)父さん。柊が家族の一員になって以来、なんか酷くなってますよねその悪い癖が?」

充「はは、お前が嫉妬深すぎるんだろ」

麗子「ふふふ、柊くんはうちの男どもにモテモテね〜〜」


柊「……(カタカタと震える)『社長一家の荒波に呑まれる運命か俺……マジで寿命縮むんだけど……!?』」



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